浜松「ガーベラ日本一」率いる脱サラ会社員の嗅覚 ここ20年で一人当たり出荷額は175%に
農作物のPRをどうするかは、各々が経営者である個々の農家の判断に委ねられる。企業組織として生産することの多い工業製品などと異なり、各農家や各産地の思惑が一致しない場面も多い。当然自治体との連携も簡単には進まない。
そうした中、「組織力」を発揮している生産者の団体が浜松市内にあるガーベラの産地のひとつが、浜松PCガーベラだ。
浜松PCガーベラとは、JAとぴあ浜松に所属するガーベラ協議会の中のPCガーベラ販売部会のこと。その設立は1989年。他の産地に先駆け、高度な品質管理システムと集出荷システムを導入したパッキングセンターを稼働させた。PCはパッキングセンターから名づけられ、現在は11名の生産者が所属している。
1989年はちょうど、浜松市がガーベラの生産量日本一になった年。翌年には、通称「大阪花博」(国際花と緑の博覧会、花の万博)が開催された。バブル経済崩壊後もしばらくは伸び続けた花の生産額だが、2000年をピークに右肩下がりを続け、今やピーク時の55%程度にまで落ち込んでいる。もちろんガーベラも大きな影響を受けた。
そうした中、2005年に4月18日を「ガーベラ記念日」に制定した際は、浜松PCガーベラが主導した。418で「よいはな」と読ませるための4月18日。自分たちが生産しているガーベラという品目の次元にとどまらず、花全体に対する関心を高めようと活動している点がユニークだ。
2008年にはフォルクスワーゲンとコラボして、ガーベラでデコレーションしたビートルを各地で展示。話題を集めた。
2019年のラグビーワールドカップ日本大会の際には、近くの袋井市まで出向き、インパクト抜群の活動も行っている。日本対アイルランド戦が行われた袋井市のエコパスタジアムに、ガーベラで作ったラガーシャツを展示したのだ。それもエコパスタジアムで試合があった、日本、アイルランド、南アフリカ、イタリア、スコットランド、ロシア、オーストラリア、ジョージア、8カ国の配色を、ガーベラの花の色だけで再現するというこだわりようだった。
これらの施策が功を奏したと言い切ってかまわないのだろう。昨年2021年度の部会員1人当たりの平均出荷額は、2001年度比で175.1%、2012年度比で129.2%と躍進している。
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