レコ大と大違い?「韓国の音楽賞」盛り上がるワケ 人気授賞式「MAMA」から見えた音楽賞の意味

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実際、MAMAが見据えているのは韓国の国内市場、というより国外である。韓国のMTVともいえる、エンタメ専用チャンネル「Mnet」などを擁する韓国エンタメ大手CJ ENMが、映像音楽賞を始めたのは1999年。2009年には「Mnet Asian Music Awards」と名前を変え、これまでもマカオやシンガポール、香港、横浜などアジアの大都市で授賞式を開催してきた。

そして、コロナ禍後初の海外開催となる今回の授賞式は、授賞式名から「アジア」という冠をとって「MAMA」に。「韓国初のアジア音楽授賞式を超えて、世界最大級のK-POP授賞式として新しく出発する」。MAMA開催に先駆けた11月16日、グローバル記者懇談会を開いた韓国エンタメ大手CE ENMのキム・ヒョンス音楽コンテンツ本部長はこう宣言し、将来的には北米開催も視野に入れていることを明らかにした。

K-POPを海外に発信していくイベント

こうしたMAMAの姿勢は、現在のK-POP業界の姿勢と共通するものがある、と見るのは『K-POP 新感覚のメディア』の著者であり、韓国のポピュラー文化に詳しい北海道大学の金成玟教授だ。

「1995年に開局したMnetは、韓国の既存の地上波放送局など既存の文化権力に対抗する形で生まれたが、一方で韓国の音楽をもっと外側に対して発信していくという意図もあった」

当初は「外側」と言えば、アジアだったが、BTSやBLACKPINKなどK-POPアーティストの人気がグローバル化され、さらにはコロナ禍を経て韓流コンテンツが欧米などでも人気を得たことで、「MAMAもこれに足並みを揃えて、世界に向けてK-POPを発信するという姿勢を明確にしたのではないか」(金教授)。「K-POPはもともと韓国だけにこだわっておらず、それはMAMAも同様」。

つまり、MAMAなど韓国の音楽賞は「K-POPを世界に広める」目的があり、国内の視聴者に主眼を置いたレコ大と根本的に異なるわけだが、主催者側だけが盛り上がったところで、音楽賞全体が盛り上がるわけではない。そこで重要なのがファンの存在で、主催者側にとってはいかにファンを取り込むかが音楽賞の人気を左右することになる。

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