「僕はなぜ働くのか」ウーバー配達員25人のリアル 専業から半ニートまで、配達員を続ける事情

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資金集めの手段としてウーバーを活用する配達員もいる。20代のUさんは自ら会社を起こすべく、準備を進めているところだ。配達歴はまだ1カ月半。起業家の卵らしく、配達ノウハウの構築も効率を重視している。

「自分1人ではできないと思ったので、新宿などで配達員に話しかけてやり方を教えてもらったりしました。この自転車も配達で使っている人が多いんですよ」

Uさんは以前、原付バイクで配達していたが、事故を起こした経験がある。左車線から急に出てきた車に追突してしまったという。警察にも割合的に加害者になると言われ「車の修理代を払わないとだめか……」と焦った。しかし、ウーバーが手配した保険会社が交渉を担当し、結果的に互いに修理代の支払いはなしで解決。原付の修理代だけで済んだ。

だが今度は右折禁止(時間帯による)の標識を見逃し、免停になってしまった。それで自転車に乗り換えることになった。「始めたばかりで、不安で全然わからなかった。僕は結構トラブルが多いんです。ウーバーに限らず。いろいろ山あり谷ありで」と笑顔を見せた。

「芸人一本で食べていけるまで配達を続ける」

「芸人一本で食べていけるまでは配達を続ける」。20代のKさんは芸能事務所の養成所に通うお笑い芸人だ。養成所の前後に配達するなど、週6日、1日8~9時間ほど働く。

時間に縛られず、仕事をこなした分だけ稼げる点は魅力だ。雨天時などは注文が増え、単価も高く、時給2000円などとしっかり稼げるケースもあるという。

配達自体がそのままネタになることは少ないが、客とのトラブルや、配達中にエレベーターのドアに挟まってしまった人がいたなど、ささいなことがお笑いのヒントになっているという。

別れ際、「ぜひお気をつけて」と声をかけると、Kさんは「テレビに出られるようにがんばります!」と大きな声で返してくれた。

今回の限られた人数でも、実に多様な人々がウーバーの配達を担っている姿が浮かんでくる。専業か副業かだけでなく、年代も目的も背景も実にさまざまだ。そんな配達員たちが現在、全国で13万人超存在し、便利なサービスを支えている。

恩恵を受けているのは注文するユーザーだ。年末年始、家族や友人の集まりなどで配達を依頼する機会も増えるだろう。「自分が注文した料理や商品を届けてくれた配達員は、どんな人たちなのか」。少し思いを巡らせてみるのは、どうだろうか。

田邉 佳介 東洋経済 記者

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たなべ けいすけ / Keisuke Tanabe

2007年入社。流通業界や株式投資雑誌の編集部、モバイル、ネット、メディア、観光・ホテル、食品担当を経て、現在は物流や音楽業界を取材。

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