「僕はなぜ働くのか」ウーバー配達員25人のリアル 専業から半ニートまで、配達員を続ける事情

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「効率よく小遣い稼ぎをする」を目標にしているのは40代のOさん。本業の飲食店の仕事の帰りや、夜のピーク時間帯だけ配達をこなす。ほかの仕事より短時間での稼ぎはいいとしつつも、不満もあるという。

「報酬は注文によって全然違うのでびっくりします。同じ地域、同じ3キロでも1000円違うときもある。こっちは何も言えないし、ウーバー側の塩梅で変わる可能性もある。専業は絶対できないかな」

ちなみに、飲食店側として、ウーバーの使い勝手は評価している。「マッチングのノウハウがあるからか、ウーバーの配達員を待たせることはあまりない。出前館の配達員は早く来すぎて待たせてしまうこともあったけど……」。

経営者の目線から見たウーバー

中にはコロナ禍で、本業の不振に頭を悩ます配達員もいる。40代のEさんは自転車関連店の経営者だ。法人向けはまずまずだが、小売りが厳しい。会社の収入減を配達で支えている。

単価は配達を始めた2021年よりも下がっているが、仕事をした分の現金が入ってくること、本業が終わった時間に、すぐ始められることはメリットだ。「搾取されていると思うこともあるが、ウーバーは僕の立場からするとありがたい」。

Eさんは経営者の視点から、ウーバーの台所事情を懸念している。「配達手数料は配達員に入る。サービス手数料もあるが、この構成でウーバーが儲かるとは思えない。報酬体系は明確にしてほしいが、撤退されてしまうと困る。僕は最低でも来年(2023年)までは続けたいので……」。

40代のBさんは六本木のレストランバーの経営者。コロナで店舗が休業になり、配達を始めたという。「ディナータイムはコースを出し、深夜はバーで営業する、飲食でも最も打撃を受けた業態ですね。六本木の一等地ですが、自粛に入った瞬間にだめでした」。

Bさんが配達を始めた2021年半ばは、行動制限の真っただ中。現在よりも稼いでいたようだ。「すごい注文数だったし、単価も高かった」。ウーバーで収入は得られたが、その後も飲食の需要回復は鈍いものだった。現在は店の経営を断念し、売却の手続きを進めている最中だ。

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