「僕はなぜ働くのか」ウーバー配達員25人のリアル 専業から半ニートまで、配達員を続ける事情

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遊べる自由も、仕事を真剣にこなしてこそ。足立区から通勤し、注文の多い都心部で1日9時間ほど働く。注文の多い時間や場所において、一定の倍率(1.1倍、1.4倍など)で基本料金を増額する「ブースト」がかかるエリアから外れないよう注文を選別する。都心でも駅の近くに配達すると、すぐに次の注文が入ることが多いという。

基本料金が加算される「ブースト」はエリアごとに決まっている。このエリアから出ないよう、工夫する配達員が多い(記者撮影)

東京・八重洲の地下街など、入り組んだ場所では、どの場所に自転車を止めれば店舗に最速でたどり着けるかをチェックし、覚えておく。また、受け取る店舗や配達先が近くても、坂道が多ければタイムロスとなり、体力の負担も大きい。そこで、六本木周辺や文京区など、坂道が多い地域は避ける。効率を重視して日々件数をこなしている。

タクシー運転手の経験を生かす

軽バンで配達する50代のMさんの平均収入は1日1万7000円。自分で目標を決め、それに達したら仕事を終えている。平均で1日10時間、忙しいときは12時間ほど働いている。

元タクシー運転手の経験もあり、都内の道路事情には詳しい。

「単価は注文のたびに変わるのでよくわからないが、べらぼうに安いわけではない。走る時間はつねに配達するようにしている。需要がある地域を狙って回ることで、無駄なく稼げる」

ウーバーは配車のアルゴリズムや明確な報酬体系を明かしていないため、配達員は独自のノウハウを構築しているようだ。タワーマンションやオフィスビルは出入りに時間がかかり、配達の効率が悪くなるので、港区や江東区などの湾岸エリアはいかない。雨の日、暑い日、寒い日など、ほかの配達員がやりたがらないときは単価も高いので狙っている、といった声があった。

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