最強の囲碁棋士が実践する「新年の目標」のたて方 超一流になるために行う「あたりまえ」のこと

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最初に「年間30勝」という目標を立てたとしても、半年を経過した時点ですでに20勝できていたとしたら、目標を40勝に引き上げて、自分のモチベーションを高めるべきでしょう。

逆に半年の時点で10勝にも届いていなかったら、30勝という数字は現実的ではなくなっているので、不本意かもしれませんが下方修正すべきです。それをせずに30勝という実現不可能な数字を目標としていたら、ストレスばかりが溜まり、努力する意欲を損ねてしまいます。その時は一旦後退しても、新たに設定し直した目標を達成したのち、改めて前に進めばいいのです。

「真の自信」を築く方法

目標の設定は多くの人がすると思いますが、その目標が「適切かどうか」がポイントです。ここを見誤ってしまうと、目標を立てたことがかえってマイナスとなってしまいかねません。

目標は「簡単過ぎてもいけないし、難し過ぎてもいけない」のです。

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容易に達成できる目標があまり役に立たないことは、改めて説明するまでもないでしょう。達成できたとしても、そこから「俺は目標を達成した」という自信が生まれることはないからです。

難し過ぎる目標設定もプラスではありません。いくら努力しても達成できないことでストレスが溜まり、それが原因で、本来好きだったものまで、嫌いになってしまいかねないのです。

スポーツ選手が「ゾーンに入った」と表現する状態がありますが、その状態は、自分の実力よりも少しだけチャレンジングなことに挑んでいる時に現れるといいます。ある程度以上の経験とスキルがあって初めて体験できることですが、余裕でクリアできる課題でも難し過ぎてもゾーンに入ることはできず、100%の力に加えて「底力」を発揮してクリアできるくらいの課題がちょうどいいそうです。僕はスポーツに限らず他のことにも、この「ゾーン理論」は当てはまるのではないかと思っています。

真面目で志が高い人ほど、達成困難な目標設定をしてしまう傾向がありますが、「百里の道も一歩から」。最終的に大きな目標を達成するために、まずは現実的、そして少しだけチャレンジングな目標を設定する必要があるのです。

そのためにはどうすればいいのか。その答えはただ一つ。「自分を知ること」しかありません。

自分の今の実力はどのレベルなのか?

自分の長所は何か?

短所は何か?

どういう時にミスが出やすいのか?

など、自分のことを細かく正確に知らなくてはなりません。

自分を自分で評価しようとすると、ついつい高めに評価しがちですが、それをやってしまうと目標の設定も高くなってしまうため、そのツケは結局自分に回ってきます。自分の短所に目をつぶることなく、ありのままの自分を見つめ直してください。言葉にするのは簡単ですが、僕も含め、なかなかできることではありません。それでも意識するかしないかだけで違ってきます。

そうすると、「では自分はどうなりたいのか」という最終的な目標がよりはっきりと見えてくるものです。その上で「そのためには何をすればいいのか」という短期的な目標を設定するのです。

この時のコツは「簡単過ぎず、難し過ぎず」です。

そして努力した結果、その最初の目標が達成できたら「さらにもう少し頑張れば達成できる」目標へと上方修正するのです。

そうした小さな目標を一つずつ達成することが「真の自信」へとつながっていきます。

張 栩 囲碁棋士

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ちょう う / CHANG, Hsu

1980年台湾生まれ。囲碁棋士。林海峰名誉天元門下。日本棋院東京本院所属。世界戦優勝。囲碁史上初の5冠(名人・王座・天元・碁聖・十段)達成、史上2人目のグランドスラム(7大タイトル制覇)、最高勝率で1000勝達成(日本棋院)。総タイトル獲得数41。ヨミの深さ、正確さに裏付けされた柔軟な発想と決断力を持つ。

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