「ポジティブ思考は危ない」禅僧が断言する理由 「生きている意味」なんて見つけなくてもいい

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生きづらさや苦しさを感じている人たちが生きるためのヒントは、仏教の考えにあるようです(写真:Pangaea/PIXTA)
2022年も終わりに近づき、「やろうと思っていたことができなかった」などと今年の反省をしたり、「来年こそはがんばろう」という新たな目標を立てたりする方も多いのではないでしょうか。反省することや「がんばろう」と思うことは悪いことではありませんが、「人生とは前向きに努力し続けなければいけないものだ」と思い込んでしまうと、自分を追い込み、心が苦しくなってしまうことがあります。
福井県永平寺で僧侶として20年近くを過ごした後、現在は青森県恐山菩提寺の院代(住職代理)を務める南直哉氏は、生きづらさや苦しさを感じている人たちの話を聞く中で、仏教の考え方がさまざまな問題の解決の糸口、生きるためのテクニックとなるのだということに気がついたと言います。
南氏の最新刊『「前向きに生きる」ことに疲れたら読む本』より一部抜粋・再構成してお届けします。

人生はネガティブで当たり前

「私はネガティブなんです」「自信がなくて、どうしてもポジティブになれないんです」とおっしゃる方が最近増えました。

率直なところ、そもそも自分がネガティブであることなど知っているのに、今さら何を言っているのかなと思います。ところが、話を聞いてみると、どの方もそれなりに安定した生活を送っていて、大変な問題が起きているようには見えません。

それで、何がどうネガティブで、何に対して自信がないのかを具体的に聞いていくと、当の本人もよくわからないのです。

「楽しくない人生はネガティブだ」と考えて、漠然と悩んでいるだけのことも多いように見受けます。

また、「最近うまくいってなくて」とぼやく人もいます。何がうまくいってないのかを聞くと「いや、いろいろ考えてしまって……」と口ごもり、「いろいろ」の内容が言えません。ただなんとなく、このままではいけないと思っているにすぎないのです。

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