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「63歳でMBAへ」元ホンダ子会社社長の数々の挫折 平均年齢が意外にも高い、MBAの受講者たち

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  • 浦上 早苗 経済ジャーナリスト、法政大学MBA兼任教員(コミュニケーションマネジメント)
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昇進が止まった頃から「会社の看板がなかったら自分は何ができるんだろう」と考え始めたものの、大勢の部下を率いる立場でもあり、目の前の仕事に取り組むことを優先した。

58歳のときに早期退職しようと周囲に相談したが、「ここまで頑張ったんだから」と言われ、60歳まで残った。

「サラリーマンって悩んでも、『目の前の仕事を』となるわけです。だから僕ももやもやを抱えながらもそれ以上突き詰めなかった。人から見て恵まれた環境っていうのもわかっていますし」

MBAがミドル・シニアの駆け込み寺に

MBAに通っている50代のほかの学生たちにも、ここに来た理由を聞いてみた。

筆者が教師を務めるMBAの受講生たち(写真:筆者提供)

「役職定年を迎えこれから何をすればいいのかと考えたとき、おざなりにしてきた学び直しをしたいと思ったが、選択肢としてMBAくらいしか思いつかなかった」

「会社に求められることを懸命にやって昇進してきたが、任せられている領域の変化が速く、自分が本当にわかっているのか自信がない」

どの人も、これまで一生懸命やってきたことが時代の変化で評価されなくなることへの戸惑いと不安を口にした。

リスキリング、学び直しの必要性が叫ばれているが、社会も企業もサラリーマン生活の第4コーナーを曲がった人への処方箋は示せていない。むしろ持て余しているというほうが近い。

「若い人に来てほしい」と、水面下で「年齢フィルター」を設けている人材育成機関もあり、豊かな経験と学ぶ意欲があるシニアの受け入れ先は広くはない。

MBAはそういった「動かないといけないけど動き方がわからない」人たちの駆け込み寺にもなりつつある。

小林さんは、「財務経理という職種だったので社外の人との付き合いは銀行などに限られていて、自分の市場価値なんて考えることもなかった。今のままでいいのか疑問を持つようになってからも現状維持に引っ張られ5年ロスしました」と振り返る。

40、50代の現役世代には「副業容認など、自分のキャリアを複線化できるチャンスが一気に広がっているのだから、動くことをためらわないでほしい」と呼びかける。

小林さんも間もなく中小企業診断士の資格を取得し、異文化研修講師の仕事も再開する。

「まずは商工会議所に登録することから。ゼロからお客さんを開拓し、自分の使い道を見つけていきたいです」

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