「63歳でMBAへ」元ホンダ子会社社長の数々の挫折 平均年齢が意外にも高い、MBAの受講者たち

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ところが、サラリーマン時代にあれほど夢見ていた「自由な生活」の充足感は次第に薄れ、それどころか、「ただ時間を消費している」とすら感じるようにもなった。時を前後して2020年初めに新型コロナウイルスの流行が始まり、企業が海外赴任を見合わせたため、研修講師の仕事もなくなった。

小林さんは第二の人生における仕事の比重を増やそうと、JETRO(日本貿易振興機構)の海外進出アドバイザーのポジションに応募した。

「大企業で経理財務のスペシャリストとして大会社で経験を積み、海外法人の社長もやった。自信満々」だった小林さんだが、書類選考で不合格となり、面接にも進めなかった。

「大手の部長」は使い道がわからない

「自分では落ちる要素がないと思っていたんですよ。しかし現実は違った。ほかの人と比べて自分に何が足りないのか、初めてじっくり考えました」

活躍しているコンサルタントを検索し経歴を調べていくうちに、小林さんは「技術者のような手に職と言えるスキルが不明瞭」「海外経験は豊富なものの、進出して事業を立ち上げるというような経験を積んでいない」と、自身のアピールポイントの少なさに気づいた。

「大手企業で部長をしていました、と履歴書に書いたところで、その企業以外の人は使い道がわからないということをようやく認識しました。かといって自分には別の会社で経験を積む時間もない。社会が必要とする人材に近づくために今からでもできるのは、資格取得でした」

小林さんは自分の能力を示し、信用力を高めるための武器として、経営コンサルタントの国家資格である「中小企業診断士」の取得を目指すことに決めた。

中小企業診断士は一次、二次と試験があり、最終合格率は1桁台と言われる。2020年6月に勉強を始め、「毎朝5時に起床し、人生でいちばん猛勉強した」末に翌年の試験で一次を突破した。だが、二次で涙をのんだ。

翌年再挑戦する選択肢もあったが、小林さんは「自分の年齢を考えると1秒も惜しい」と、一次試験合格者を対象に開講され、修了すれば二次試験を受けずに資格をえられる中小企業診断士養成課程に通うことにした。

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