結婚20年の夫が思い悩む「休日の昼間がつらいよ」 もはや「挨拶程度」の妻との未来が見えない

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むしろ子どもだったらそんな生煮えの時間には早々に耐えきれなくなって、派手に喧嘩した後で「ごめん」と謝って仕切り直しできたりする。この点、大人のほうが意地っ張りなので余計に厄介です。

けれどもいちょう並木さんのお手紙を拝見して、こんなふうに自分の寂しさを言葉にできる方ならば、ご自分から働きかけることもきっとできるはずだと思いました。

年齢を重ねたからこそ「出会い直す」ことができる

周りの人がみんな幸せそうに見えている中で、意地や虚勢を脱いで正直な思いを吐露するというのは、誰にとっても決して簡単なことではないのです。勇敢さが必要なのです。

この点、いちょう並木さんは十分にそれをお持ちなのだから、家族の再構築という大変な作業に取り組む一歩も、きっと踏み出せるはずです。

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年を重ねる中で、周囲で起きることが次第に既視感のあることばかりになって、もうこれ以上自分の物語に、新しく刺激的な出来事は何も起こらないんじゃないか。そんなふうに感じるときが、私にもあります。

けれども私たちは年齢を重ねたからこそ「出会い直す」ことができるのだと、最近よく思うんです。かつて一度出会って、すっかり知った気になったものと、時間を経て再び出会い直す。本でも、映画でも、久々に見直してみると、かつてとはまったく違う、新しい感動を与えてくれるものって少なくないですよね。

夫婦関係にも同じことが言えると思うんです。いつも誰よりも近くにいて、だからこそいつしか最も遠い人になっていた妻が、あるいは夫が、一体どんなことを考えながら、どんな日常を過ごしているのか。夫婦の間にもう一度橋を架けて、言葉を交わして、それまでの空白期間を埋めていく。

「出会い直し」は年を重ねた大人だけに許された、人生後半からのご褒美です。いちょう並木さんのこれからの人生には、きっとたくさんのご褒美が待ち受けているはずですよ。

紫原 明子 エッセイスト

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しはら あきこ / Akiko Shihara

1982年、福岡県生まれ。男女2人の子を持つシングルマザー。 個人ブログ「手の中で膨らむ」が話題となり執筆活動を本格化。BLOGOS、クロワッサン オンライン、AMなどにて寄稿、連載。その他「ウーマンエキサイト」にて「WEラブ赤ちゃん」プロジェクト発案など多彩な活動を行っている。著書に『家族無計画』(朝日出版社)、『りこんのこども』(マガジンハウス)がある。

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