不機嫌な人が周囲にまき散らす「フキハラ」の正体 家庭内でも深刻、脳波研究でわかったメカニズム

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だとすれば、「不機嫌な人のそばにただいるだけでもストレスが高まる」という事実を知っておくことは、自分自身のストレスコントロールのためにも必要だと言えるでしょう。

「不機嫌オーラ」をむやみやらたらにまき散らそうとする人はもってのほか、確実に離れたほうがいいのは明らかです。

「不機嫌」にもパンデミックは起こる

フキハラを引き起こす「不機嫌ノーラ」の影響は、たった1人にだけ及ぶわけではありません。1人でも「不機嫌な人がいれば、その不機嫌はその場にいる人皆に移ってしまいます。

しかも、不機嫌が同調するのを放っておけば、それぞれが「不機嫌ノーラ」を発し、交信しあうことで、結果的に全員の不機嫌が増幅してしまいます。

まさに、「不機嫌パンデミック」といえる状況が起こりうるのです。

プロジェクトが行き詰まった時など、チーム内に重苦しい空気が流れるのを感じることがありますが、あの不穏な空気の正体もまさに「不機嫌ノーラ」なのです。

「不機嫌ノーラ」は家庭内感染も深刻です。

例えば、家族の誰かが会社や学校でストレスを持ち帰り、家でずっと不機嫌でいたりすれば、一緒にすごす別の家族に無用なストレスを与えることになります。とげとげしい言葉を使って当たり散らしたりしなくても、「不機嫌でいること」自体が家族みんなの感情に影響するのです。

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それぞれが別のストレスを持ち帰った場合、事態はさらに深刻です。みんなの「不機嫌ノーラ」が交信しあうせいで、それぞれの「不機嫌」が指数関数的に増大してしまう可能性があります。「不機嫌でいること」の影響力は非常に大きいのです。

年末年始や長期休暇など、家族や夫婦が常に一緒に過ごすことが多くなるときこそ、「フキハラ」被害が起こりやすい時期でもあります。

不機嫌になってしまうことは誰しもがあること。これは、ネガティブ情報を好む脳の特性から言ってもどうしようもない事実です。

無用な争いやいざこざを起こさないために、ぎすぎすとした空気にいたたまれない状況を招かないために、科学的な見地から、「フキハラ」のメカニズムを知り、自己防衛のための対策をとることが必須だと言えるでしょう。

満倉 靖恵 慶應義塾大学理工学部システムデザイン工学科教授

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みつくら やすえ / Yasue Mitsukura

生体信号処理、脳波解析などをキーワードに、脳神経メカニズム・感情・睡眠・うつ病・認知症などに関する研究に従事。特に医工連携型研究に注力。電通サイエンスジャムと共同で、世界初の脳波によるリアルタイム感情認識ツール「感性アナライザ」を開発。リサーチ、商品開発など世界中で活用されている。心拍のみを用いた自律神経の動きに注目した睡眠の5段階解析、非侵襲ホルモン解析などの専門家。慶應義塾大学医学部精神神経科学教室兼担教授/電通サイエンスジャム取締役CTO/株式会社イーライフ取締役CTO/博士(工学)/博士(医学)なども務める。

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