いじめに絶望した僕がダウンタウンに救われた話 「毎日が理不尽だった」中2時代に起きた奇跡

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(絵:チャンス大城)

「かかってきなさい!」には三組ぐらいしか出演できないので、尺を埋めるにはショートコントを四、五本作る必要があります。まずは、近所に住んでいたオキタ君の口ぐせ、「オッヒョッヒョ」を使わせてもらうことにしました。

一発ショートネタをかました後に、「オッヒョッヒョ」というブリッジを入れて次のネタに移っていくのです。これは、ショートネタを繋いでいくのに有効な手段でした。

Tは、僕が起死回生を誓ってネタ作りをしていることなど知らずに、
「オオシロ、肩揉めや」

などと言っては、僕を舎弟のように扱っていました。ある時、美人でスタイルもよくてしかも頭のいいスズキさんという女子が、

「T君、オオシロ君かわいそうやん、いじめるのやめたりやー」

と言ってくれたこともありました。

「新しい自分に出会える」

スズキさんは、

「オオシロ君、いつも大変やね。大丈夫?」

なんて言ってくれて、まるで天使みたいな人だと思いはしましたが、すでに僕の頭の中はネタのことで一杯。Tのいじめなんてどうでもよくなっていました。

オーディション会場は、当時、大阪の道頓堀にある通称「ひっかけ橋(戎橋)」のまん前にあった「心斎橋二丁目劇場」でした。

武庫之荘駅から阪急電車に乗って、梅田駅まで約一時間。地下鉄御堂筋(みどうすじ)線に乗り換えて難波駅で降り、地上に上がると、武庫之荘とは全然違う景色が広がっていました。高島屋デパートが目の前にどーんと聳(そび)えていて、クサイ言い方かもしれませんけれど、僕は、

「新しい自分に出会える」

と本気で思ったんです。

「僕、やっぱり芸人になろう」

そう固く胸に誓ったら、なんだかすごくワクワクしてきました。

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