いじめに絶望した僕がダウンタウンに救われた話 「毎日が理不尽だった」中2時代に起きた奇跡

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学校に行けば必ずいじめられる。家にいれば親からサボるなと言われる。僕は学校に行くのがあまりにも嫌で、近所の畑の隅に建っているトラクターの倉庫の床に、朝から夕方までひとりで座っていたことがあります。それぐらい学校が嫌だったのです。

この時は、学校をサボったのがおかんにバレて、太ももをつねられてとても悲しかったのですが、いじめられっ子の多くは、学校と家庭の板挟みになって苦しんでいるのではないかと思います。そして、そんな日々を送っていると、すっかり心が腐ってしまうのです。

このままじゃダメになると奮起

このままじゃ、ダメになるな。

そう思い詰めた時、僕はなぜか、おかんに梅田花月に連れていってもらった時のことを思い出したのです。

あの日、僕は間寛平さんを初めて生で見たのでした。

実を言うと、僕はその日まで寛平さんのことをよく知りませんでした。ハザマじゃなくてカザマだと勘違いしていたぐらい、知らなかったのです。

ところが、「かいーの」とか「なにがじゃ、どーしてじゃ」という爺さん役のギャグを生で聞いて、本当に体に電気が走ったのです。

「この世にこんなに面白い人がいるんや、かっこええなー」

寛平さんのことを思い出したら、同時に小学五年生のクラス会のことも思い出しました。僕はそのクラス会で、初めて人前でF1のモノ真似をやって、どかーんとウケたのです。

「そうや、僕にはお笑いがあるんや。勉強もダメ、スポーツもダメな僕は、お笑いでのし上がるしかないんや!」

当時、僕と同じ尼崎出身のダウンタウンさんが、毎日放送で『4時ですよ~だ』という生番組をやっていました。女子高生に大人気の番組で、会場はいつも満員。関西の中高生でこの番組を知らなかったらモグリ、というぐらいの人気番組でした。

火曜日の『4時ですよ~だ』に、「かかってきなさい!」という素人参加のコーナーがありました。素人が三人ぐらい出てきては、マジックとかショートコントを披露して、その日の優勝者を決めるコーナーです。僕はいじめから脱出するために、このコーナーのオーディションを受けることを決意したのです。

決意したその日から、僕はネタ作りに熱中しました。

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