賛否ある「電動キックボード」見習うはパリ? 安全に乗るための「インフラ」あるべき姿

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電動キックボード“等”と書いているとおり、これは電動のパーソナルモビリティ全般についての法律であり、一部の自動車メーカーが開発している3輪の電動キックボード、シニアカーを含めた電動車いすなどもここに該当する。

この特定小型原付については、発表以来さまざまな意見が出されている。そこで、ひと足先に普及しているパリの経験から、筆者なりの考えを綴らせていただく。

問題は車両ではなくインフラにある

まず、「電動キックボードそのものが危険だ」という意見。これには同意できない。

筆者も東京でシェアリングの車両を何度か使ったことがある。たしかにタイヤが小径なため路面の凸凹に影響されやすいし、ステップボードは幅が狭いので踏ん張りが利かないなど、自転車と比べれば不安定だ。

しかし、危険であれば、そもそも海外でも販売中止などの措置が取られるはずである。それに不安定な乗り物ほど、注意深く運転するという人もいるはずだ。逆に安定感があって安心度も高いクルマの事故は、毎日数えきれないほど起こっている。慢心もまた危険に結びつくということなのだろう。

問題は、車両そのものよりもインフラにあると思っている。パリと東京の大きな違いは、下の写真にもあるとおり自転車レーンの充実だ。

バスティーユ広場の自転車レーン(筆者撮影)

2001年にベルトラン・ドラノエ前市長になって以来、自転車レーンは環境対策の観点から急激に増えはじめ、コロナ禍でソーシャルディスタンス確保のために拍車がかかった。おかげで4年前と比べると、自転車は驚くほど増えた。

象徴的なのが、ルーヴル美術館の脇を走るリヴォリ通りで、以前は一方通行の車線が3車線分ぐらいあったと記憶しているが、今回訪れると自動車レーンを1車線だけ残し、残りはすべて双方向に通行可能な自転車レーンに変わっていた。

自転車レーンが大幅に拡大されていたリヴォリ通り(筆者撮影)

前に書いたように、電動キックボードは自転車レーンを走ることになっている。これだけレーンが整備されていれば、歩行者や自動車と接触する機会は減るし、安心して乗れると思う人もいるだろう。

また、日本の特定小型原付では認められる歩道走行が、パリでは認められていない。実はパリも、最初は電動キックボードの歩道通行はOKだったが、接触事故が多発したので禁止になった。

ちなみにフランスをはじめ欧米では、自転車も歩道通行は認めていない。というか、日本も自転車は車道が原則である。

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