クルマのDX化「ソニー×ホンダ」の目論見はなにか 「XR」が創り出すクルマと移動の新たな価値

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「CES 2022」で発表されたソニーのコンセプトカー「VISION-S 02」(写真:ソニー)

「クルマの家電化」という言葉が、言われたことがあった。「クルマが白物家電のようになり、つまらなくなった」という、ややネガティブな意味合いを持った言葉だった。

しかし、HEV(ハイブリッド車)やBEV(電気自動車)はもちろん、自動運転車すら現実になりつつある今、”家電化“かどうかは定かではなくても、”クルマの電化“が進んでいるのはたしかである。そして、それは決してネガティブな意味ではなく、「新しい価値が生まれようとしている」というポジティブな意味で、だ。

2022年10月13日には、自動車メーカーと電機メーカーが手を組んだ新会社の設立が発表された。ソニー・ホンダモビリティ株式会社だ。

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社長に就任した川西泉氏はソニーグループでAIやロボットを担当してきた人物で、この新会社について次のように語った。

「移動する空間価値に着目し、物理的に移動するための手段だけでなく、リアルとバーチャルの世界を融合していくことで、移動空間をエンターテインメント空間、感動空間へと拡張していく」「メタバースなどのデジタルをフル活用し、新しいエンターテインメントの可能性を追求すると同時に、移動空間における新たなコミュニティを想像していく」

プロダクトやサービスの具体的な内容は発表されなかったが、移動手段としてのクルマを超えた、新たな価値を提供するクルマづくりを行っていくことが示されていた。

クルマは今後、何を提供するべきなのか?

このテーマは、すでに大きなイシューとなっている。新たな提供価値が求められる時代に入っていると言えよう。ソニー・ホンダモビリティが進めるビジネスは多岐にわたると考えられるが、本稿では車内空間の進化、特に移動空間にエンターテインメントの要素を入れることの影響を考えていく。

車両向けVRコンテンツの制作を強みとするドイツのホロライド(holoride)は、アウディの一部車種に車載用エンターテインメント・プラットフォームの提供開始を発表した。

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