賛否ある「電動キックボード」見習うはパリ? 安全に乗るための「インフラ」あるべき姿

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欧米では、自動車が増えて事故が増えるに従って自転車レーンの整備が進んだのに対し、日本ではなぜか歩道通行を可能とするルールを1970年代に導入し、「自歩道」なる概念が生まれた。

青い円の中に歩行者と自転車を描いた標識は、今なお多くの道路で見かける。つまり、ダブルスタンダード状態と言えるわけで、これが自転車のルール違反が続出する理由の1つだと感じている。

ゆえに一部の自治体は、自転車の歩道通行禁止に向けて動き出している。たとえば京都市は、中心部を東西に貫く四条通は以前から歩道通行禁止であり、2022年11月からは南北方向のメインストリートである烏丸通の一部でも試験的に歩道通行規制を始め、12月16日から正式に歩道の自転車走行が禁止された。

このように、各地で自転車の歩道通行の問題が出始めているにもかかわらず、特定小型原付では走行を認めようとしている。最高速度は6km/hに制限され、「識別点滅灯火」を装備するというが、背後から音もなく近づいてきて抜いていくというシーンは十分考えられる。

メリットを生かして安全に乗れるよう

パリでもルール違反の電動キックボードはいる。多いのは若いカップルによる2人乗りだ。帰国後に見たニュースでは、パリ市議会が2023年2月に期限切れとなる3事業者について、免許を更新しないことを検討しているとあった。理由はもちろん事故の増加だ。

これに対して事業者は、警察が交通違反を追跡できるようナンバープレートを装着するなどの改革を提案しているという。シェアリングだけを規制するのは不公平という意見もある。

もちろん、パリでも違反行為はある。若者による2人乗りが多い(筆者撮影)

新しい乗り物が加わるのは“移動の選択肢”が増えることであり、筆者は基本的に受け入れる立場である。電動キックボードについても、自転車よりスペースを取らず、フル電動としては安価であるという利点があると考えている。

しかし、インフラを整備したパリでも問題が出ている乗り物を、パリでは禁止された歩道に入れようとする日本の姿勢は、暴走気味ではないかという気がする。少なくともパリ並みに自転車レーンを整備し、整備が終わった都市から、自転車レーン限定で導入していくのが、自然な流れではないだろうか。

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森口 将之 モビリティジャーナリスト

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もりぐち まさゆき / Masayuki Moriguchi

1962年生まれ。モビリティジャーナリスト。移動や都市という視点から自動車や公共交通を取材。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。著書に『富山から拡がる交通革命』(交通新聞社新書)。

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