原発5基廃炉の裏で蠢く「倍返し」の新増設

日本原電は敦賀3、4号増設へ働きかけ強化

日本原電は敦賀3、4号機の推進に社運が懸かる(日本原電本社の入居するビル)

これら1980年以前に運転を開始した原発は、新規制基準が要求する難燃性の電気ケーブルを使っていないなど、審査合格のハードルは低くないと見られる。ただ、1980年以降に運転開始した原発を含め、規制委の審査次第では軒並み運転延長が認められ、運転40年原則が実質的に骨抜きになる可能性もある。

廃炉決定の裏では新増設計画も進む。中国電力の場合、島根1号機(46万キロワット)を廃炉にしても、その3倍規模の3号機(137.3万キロワット)がほぼ完成しており、規制委審査申請の準備中にある。2号機と3号機の合計出力は219.3万キロワットで、1号機と2号機合計の71%増となる。1基廃炉でも、出力や発電量は7割以上も増えるのだ。

「原発の新増設やリプレース(建て替え)は想定していない」というのが、東日本大震災後の政府の基本方針。ただ、大震災前に政府から原子炉設置許可と工事計画認可を得て着工済みだった島根3号機と電源開発(Jパワー)の大間原発、東電の東通1号機についてはその対象外との考えを示している。

日本原電「増設実現の具体化図る」

大間原発は工事進捗率4割程度だが、2014年12月に新規制基準の適合性審査を申請。出力は138.3万キロワットと最大規模だ。今回廃炉が決まった老朽5基の合計出力(221.6万キロワット)は、島根3号機と大間の2基合計(275.6万キロワット)にも満たない。

また、東通1号機は工事進捗率が約10%の時点で福島事故が発生し、それから本格工事が中断されている。「今後の方針は未定」(東電広報部)といい、工事再開、規制委審査申請の可能性を残したままだ。

電力業界は、これら以外の新増設計画についても実現を狙っている。

敦賀1号機の廃炉決定発表と同じ日に日本原電が公表した2015年度の「経営の基本計画」。年度計画としては5年ぶりとなるものだが、この中で同社は廃炉事業や海外事業の推進とともに、「敦賀3、4号機増設計画の推進」を打ち出した。「敦賀3、4号機は原子力の維持発展のために必須であり、人と技術の確保にも重要であることから、増設実現のための方策を関係者の皆さまと検討し、具体化を図る」としている。3、4号機はどちらも出力153.8万キロワットと超大型機である。

日本原電は保有原発3基のうち、敦賀1号機は廃炉決定。2号機は規制委が原子炉直下の活断層を認定し、やはり廃炉に追い込まれる公算が大きい。もう一つの 東海第二も老朽機で審査難航が必至。地元の再稼働反対論も根強い。それだけに敦賀3、4号機計画の推進には社運が懸かっており、必死になって取り組むのは 当然かもしれない。

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