2022年「視聴者に刺さったCM」に見たスゴイ変化 ニューノーマル定着で生活者の意識変化を反映

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本年度を振り返ると、生活者の意識が“おうち”から“外”、“静”から“動”へ向かいはじめたことを示すCMが目立った。

なかでも行動制限の緩和を背景に、旅行関連のCMが活況となった。JR東海は「そうだ 京都、行こう。」でおなじみの『京都キャンペーン』のCMを約2年半ぶりに再開したほか、ビジネスパーソン役の深津絵里が新幹線で久しぶりに出張するCMで「会うって、特別だったんだ。」というメッセージを印象づけた。

日本航空は松本潤と櫻井翔が「ずっと会いたかった」「ずっと行きたかった」と語りかけるCMを展開。ハワイアン航空は羽田ーホノルル線の運行再開を伝えるCMをオンエアした。オンライン旅行予約プラットフォーム『agoda』はバナナマンを起用してCM展開を開始した。

ニューノーマルが定着する中でCMが描いたもの

ニューノーマルが定着する中、人と人とのつながりや日常の大切さを描くCMも共感を集めた。日本マクドナルドは風吹ジュンと尾野真千子が母娘を演じるCMを放送。ハンバーガーのピクルスを風吹に差し出す孫娘などを通して、親子三世代の“愛のリレー”を表現した。同社の『月見ファミリー』のCMは父(松重豊)とひとり暮らしを始めた娘(藤野涼子)が月を見ながら一緒に暮らした日々を思い起こす姿を描いた。

CM総合研究所はCM好感度年間No.1ブランド「BRAND OF THE YEAR」、および優れたCM展開で業績の向上に貢献した「消費者を動かしたCM展開」を12月13日に発表した

サントリーホールディングスは「人生には、飲食店がいる。」をコピーとした企業CMで、人と人との交流を後押ししてきた飲食店の価値を伝えた。同社の『BOSS』は“宇宙大統領”(中島みゆき)により“働くこと”を禁じられた世界を描くCMで、働くことの意味を表現。大塚製薬『カロリーメイト』は大島優子が後輩(金子大地)を取引先の農家へ連れ出し、リモートワークでは見えない“働く背中”を見せるCMをオンエアした。

社会課題に対するメッセージや企業の取り組みを描くCMも注目された。ACジャパン『公共広告』はコンビニで支払いに手間取る高齢の女性に男性客(呂布カルマ)がラップで優しい言葉を掛けるCMを放送。不寛容な時代の中でも他者を尊重し認め合う大切さを表現し、反響を呼んだ。

花王は擬人化されたTシャツなどが洗剤の使用量や節水といったテーマについて語る企業CM「もったいないを、ほっとけない。」を開始。サントリーホールディングスは稲垣吾郎、草彅剛、香取慎吾がペットボトルの分別や回収をする姿を映す「#素晴らしい過去になろう」プロジェクトのCMをオンエアした。

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