「サクラ/ekクロスEV」が並み居る強豪に勝った訳 日本カー・オブ・ザ・イヤー2022-2023選出の裏側
ここからは今回の結果を客観的に分析していきたいと思う。今年の10ベストカーは価格、ボディサイズ、パワートレインなど例年以上に多種多様だった。その辺りは配点に表れているのだろうか?
まずは10点を入れた選考委員が多いモデルを見てみると……、
・日産サクラ/三菱 eKクロス EV 23人
・ホンダ シビック e:HEV/シビックタイプR 16人
・トヨタ クラウン 7人
続いて、上記の3台の中で1点も入れていない選考委員を見てみると……、
・日産 サクラ/三菱 eKクロス EV 8人
・ホンダ シビック e:HEV/シビックタイプR 5人
・トヨタ クラウン 9人
さらに上記の3台で5点以上を入れている選考委員を見てみると……
・日産サクラ/三菱 eKクロス EV 41人
・ホンダ シビック e:HEV/シビックタイプR 26人
・トヨタクラウン 21人
「日産サクラ/三菱 eKクロス EV」の評価
これらから分析すると、つまり日産サクラ/三菱 eKクロス EVは多くの選考委員が「いいクルマである」だと判断していることがわかる。実はこれは、2019年のトヨタ「RAV4」、2020年のスバル「レヴォーグ」、そして2021年の日産「ノートシリーズ」と同じ流れである。
日産サクラ/三菱 eKクロス EVは、電動化という武器を用いることで、軽自動車らしい「コンパクトで扱いやすいサイズ」を一切犠牲にすることなく、軽自動車らしからぬ「走行性能」を高次元で両立させた1台である。
もちろん価格や航続距離(180km)の指摘がないわけではないが、軽自動車の1日の平均走行距離を考えれば実用に値する。カーボンニュートラル実現のためにさまざまな選択肢が必要な日本の未来を考えると、その一つとなるバッテリーEV普及のために、現実的な「解」を提案したことに対して、多くの選考委員が高く評価したわけだ。
シビックは走りの楽しさと燃費をバランスさせた新世代e:HEVと痛快で刺激的なタイプRの2つの「顔」が高く評価されたが、クルマとしての総合力という意味ではやや足りないところも……。さらにクラウンは日本で最も伝統のあるモデルを大きく変えたこと、世の中での話題性も高かったが、16代目の革新と挑戦の“本質”がシッカリと伝わっていないようにも感じた。この辺りは来年以降に登場する3仕様の派生モデルに期待したい所だ。
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