数あるスーパーで「ライフ」が勝ち残った納得理由 追いかけるオーケー「二刀流宣言」で変わる勢力図

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また、2000年代以降、GMSはドラッグストア、ホームセンターなどの専門店小売りや、その集積であるショッピングモールに顧客を奪われる。「非食品部門」(いわゆるGMSの2階から上)が不採算部門になり、業績が悪化。イオン、イトーヨーカ堂、ユニーといった生き残り組とされたGMSでさえ、業績の停滞で「お荷物」と化していった。一方、ライフは売り上げの約8割を食品で構成する体制となっていたため、大きな影響は受けなかった。

このように、大都市圏の食品スーパーとして磨きをかけていったライフは、多くの第一世代が沈む中、着々と大手食品スーパーへの道を歩み続けることができた。

(外部配信先では図表やグラフを全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)

食品スーパーの競争力は1店舗あたりの売り上げでわかる

ライフは、店舗フォーマットに関しても正解を選択していた。次の図表は食品スーパーの1店あたり売り上げと成長力をプロットしたものだ(マウスオーバーするとスーパー名が表示)。

1店あたり売り上げが大きい企業ほどその成長力が高い(競争力があると言い換えてもいい)ことがわかるだろう。1店あたり売り上げが大きいとは、ざっくり言ってしまえば、①ロピア、オーケーのような安さで集客できる店か、②ライフ、ヤオコー、ベルクのように、店が広くて品揃えがいい、という2類型に分けられる。

ライフが選んだ2500㎡くらいの広さで、食品+生活必需品の品揃えがちょうどいい店は、大都市圏、東京23区や大阪市内といった混みあった旧市街地にあまり存在していなかった。首都圏でイメージするなら「普通の食品スーパーは狭苦しく、イトーヨーカ堂は広すぎる」といった具合だ。この店舗フォーマットもあって、ライフは大都市圏の食品スーパーとして競争力を保ち、成長基調を維持してきた。

こうしたライフの強み(大都市特化、食品+必需品、中型サイズ)を戦略的に選んだのが、創業者の清水氏なのだが、何を根拠に選んだといえば、よくわからないところが多い。こうした要因は、今の時代に適しているとしても、選択している時期にはどう考えても外部環境やデータなどには現れていないからだ。

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