数あるスーパーで「ライフ」が勝ち残った納得理由 追いかけるオーケー「二刀流宣言」で変わる勢力図

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言ってしまえば、天才商人である清水氏の勘、なのだろうが、底流にあるのは商売の達人が共通して持っている「逆張りの精神」ともいえる。

「大黒柱に車をつけよ」といったイオンの岡田名誉会長、圧縮陳列という商品を探しにくい店を作って深夜マーケットを開拓したドン・キホーテ創業者の安田氏、など小売り立志伝中の人物の多くは逆張り伝説とともにある。その意味でも、やはり清水氏のすごみは、今にも生きているといったところなのであろう。

関西スーパー争奪戦参戦はオーケーの二刀流宣言

ライフをトップ企業に押し上げた、関西、首都圏の「大都市圏二刀流戦略」だが、この戦略を後ろからヒタヒタと追いかけてくる企業がいる。それが昨年、H2Oグループと関西スーパー争奪戦を繰り広げた結果、僅差で敗退したオーケーである。オーケーは首都圏の国道16号線の内側を出店エリアとして展開する有力食品スーパーで、その売り上げは5000億円を超えている。

その成長力はライフをさらに上回り、今や国道16号線内側エリアではトップクラスの存在。ライフはその後塵を拝している状況にある。そんなオーケーが昨年起こした関西スーパー争奪戦とは、ライフ同様の大都市圏二刀流を宣言したとも言える。

結果的に、関西スーパーはH2Oリテイリングの傘下に入り、オーケーの構想は実現しなかったのだが、2022年10月、オーケーは東大阪市内に出店するための用地取得を決定したことを公表、新規出店による関西進出が始まることになった。

ここで先の「食品スーパーの1店あたり売上と成長力」の図に戻ると、右上に位置するのが、ロピア、オーケー、ヤオコーとなり、そのすぐ左下にライフ、ベルク、サミット、万代などの名前が連なっている。まさに業界屈指の「強豪銘柄」ばかりである。

ここからは勝手な想像になるが、オーケーの参入に対しても、ライフ、万代といった強い店をもつ企業は十分に渡り合いながら、マーケットですみわけることになると考えられる。

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