NHK大河はどう描く?「紫式部と道長」微妙な関係 パワハラ?色っぽい展開?両者の和歌を読み解く

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このエピソードは、道長の和歌で終わっている。紫式部は和歌の後、何の言葉も足していない。そのため紫式部がどのような感想を持っていたのかはわからないのだ。このあたりの余韻の残し方も、小説家の日記として上手い……読者としては解釈の余地を残さずにいてほしかったところだが。

紫式部日記を読む限り、仲は深かった

まあ紫式部としては早朝のパトロンの戯言に「やれやれ、あの社長はいつもめんどくさいな」と思っていたかもしれない。

逆に、案外色っぽい展開を隠していたのかもしれない。隠していたからこそ感想を書かなかったという説もある。2024年の大河ドラマは後者解釈を採用するようだ。

ただ『紫式部日記』を読む限り、紫式部と藤原道長は早朝に花と和歌をやりとりするくらいには仲が深かったらしい。実は紫式部が道長をどう感じていたのか、解釈の考えがいはあるものである。

三宅 香帆 文芸評論家

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みやけ かほ / Kaho Miyake

1994年生まれ。高知県出身。京都大学大学院人間・環境学研究科博士前期課程修了。天狼院書店(京都天狼院)元店長。2016年「京大院生の書店スタッフが「正直、これ読んだら人生狂っちゃうよね」と思う本ベスト20を選んでみた。 ≪リーディング・ハイ≫」がハイパーバズを起こし、2016年の年間総合はてなブックマーク数ランキングで第2位となる。その卓越した選書センスと書評によって、本好きのSNSの間で大反響を呼んだ。『人生を狂わす名著50』(ライツ社刊)、『女の子の謎を解く』(笠間書院)『それを読むたび思い出す』(青土社)など著書多数)。4月『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』(集英社新書)を発売予定。

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