日本の「学歴」では世界で勝ち抜けない根本要因 他の先進国と比べて日本は閉ざされた社会だ
国内での人的資本をめぐる閉じた競争も、製造業における生産性を高めることに貢献した。グローバルな競争が、工業製品を通じて行われていた時代の恩恵である。日本の相対的優位性が、国境内部の人的資本の高さによって得られた工業化の時代である。
いや、その閉じた市場の中で発達した、「日本的経営」が日本の競争力の源となったと主張する論者もいる(2)。就職市場も企業内部の昇進市場も、そこで指摘された特徴に重なる。おそらく1980年代までの「戦後経済」の姿でもある。
閉鎖性がますます目立つように
しかし、日本の優位性はさまざまな要因によって喪失していった。それを論じるのはこの記事の目的を超えるが、しばしば指摘されるのは、グローバル化のさらなる展開、アジア諸国のキャッチアップ、製造業から第3次産業中心の産業構造の変化や、日本の「成熟社会」化、技術革新力の枯渇、バブル経済破綻後のデフレマインドの蔓延等々である。
その原因の特定はここではできないが、少なくとも、それ以前に通用していた工業製品を通じたグローバル市場での日本の優位性が損なわれるにつれ、人的資本のグローバルな市場から日本が遠ざかっていたことが、今度はマイナスの方向に働くようになったのだろう。そして、その閉鎖性がますます目立つようになった。
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