ただし、世界のマネー環境の大本とも言えるFRB(米国連邦準備制度理事会)が今年の後半には金融引き締めに向かいそうな状況であることには、注意を要する。
日銀の緩和とFRBの引き締めのどちらの影響が大きいかは難しい問題だ。 日本の株価が高すぎる状況でFRBの引き締めが行われた場合は、こちらの悪影響が上回るのではないか、というのが筆者の現時点での予想だ。
ところで、2%の物価目標に向けて日銀は何をするのか。「国債、株式、REIT(不動産投資信託)などを、現状ないしはそれ以上のペースで買う」というのが大雑把な答えだろう。
すると、こと株式に関しては、ETF(上場投資信託)を毎年3兆円以上買うと予想される。「今後、株価が割高になっても、それでも買うのか?」というのは、黒田総裁の答えを是非聞いてみたい質問の一つだが、その他にも、日銀が民間企業の大株主となることの是非も大きな問題だ。
「財政ファイナンス宣言」のススメ
金融緩和の維持・拡大を支持する立場の論者にも、その手段については幾つかバリエーションがある。
筆者は、日銀のETFを通じた株式買い入れにあまり賛成ではない。政府の一部門である日銀が民間企業の大株主となることは、企業ガバナンス上望ましいことではないと考えるし、株価の自然な形成を妨げる弊害もある。
3月15日の『日本経済新聞』に面白いインタビューが載っていた。インフレ目標付きの金融緩和に賛成のいわゆる「リフレ派」の論客である三菱UFJ総合研究所の片岡剛士氏と、かつて日銀の審議委員を務め現在はリフレ派に対して批判的な意見をお持ちと目されるキャノングローバル戦略研究所の須田美矢子氏が、それぞれの立場から金融政策を語ったものだ。
この中で両氏の「財政ファイナンス」に対する発言が面白い。一部を要約させていただく。
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