2023年の「日米の株価」はどのように動くのか 行きすぎた悲観相場の修正後に待ち受けるもの

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市場が表しているサインも、2023年の景気後退や株価下落を示唆している。

いわゆる逆イールド、すなわち長期金利が短期金利を下回る現象が、景気や株価のピークアウトに半年から1年ほど先行することは、以前の当コラム「アメリカ株が波乱の中でも年内は上昇と読む理由」(11月7日配信)で指摘したとおりだ。そこでは、10年と2年の国債利回りが2022年7月に逆転し始めたことを述べ、そのため「景気も株価も2023年のどこかで暗転する可能性が高い」と解説した。

アメリカの景気の底は2023年8月前後?

もう1つ、市場からのサインとしては、イールドレシオが挙げられる。
PER(株価収益率)の逆数を「益回り」と呼ぶが、イールドレシオは「長期金利÷益回り」で計算され、「長期金利×PER」に等しくなる。

一般的な見方としては、この数値が高い場合は割高、低い場合は割安とされる。低下するときは、株式市場に悲観が広がって、足元の企業収益がそれなりにあるのにかかわらず株価が大きく下落しているか、あるいは景気悲観論から長期金利が大きく下がっているか、その両方が同時に発生しているか、を意味する。

このイールドレシオを見ると、2005年7月に底をつけ、その182週後の2008年12月に再び底が来ている。それ以降は187週後、185週後、さらに185週後に底が到来しているといえる。

なぜこのように185週前後のサイクルが存在しているのか、理由はまったくわからない。ただ、直近2019年8月の底から185週後は、2023年3月に相当する。

加えて、直近2回のイールドレシオの底を見ると、そうした185週のサイクルでの底を付けたあと、おおむね5カ月後にさらに深い底が到来している。こうした追加の底が5カ月後、ということが今度も繰り返されれば、2023年3月の底のあと、8月にさらに深い底が来ることになる。

懸念しているように、アメリカの景気後退が支配する市場動向という形になれば、景気と企業収益の悪化への不安から、主要国の株価は下落色を強めそうだ。

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