キー局決算、放送収入減でも見えた「変化の兆し」 ウェブへの本格適応がようやく見え始めた

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

そこへ風穴を開けたのが、2015年に始まったTVerだ。これまでも見逃し配信機能はあったが、今年4月に各局の「リアルタイム配信」が正式開始。ゴールデン・プライムタイム帯の番組を中心に、地上波とのタイムラグなしに視聴できるようになった。

今クール話題のドラマ「silent」(フジ系)は、最新回のみTVerで無料配信されているが、それ以前の各話はFODで有料配信されている(一部無料あり)。同社が主催する「フジテレビヤングシナリオ大賞」出身の新人脚本家・生方美久氏を抜擢した本作は大ヒット中で、FOD有料会員は11月19日に100万人を突破。第4話の見逃し配信は、1週間で582万再生と、これまでTVerで配信された全番組の単話再生数における最高記録を更新している。

話題といえば、テレビ朝日とサイバーエージェント(CA)が手がけるABEMA(旧称AbemaTV)の、サッカー・カタールワールドカップ(W杯)中継も画期的だ。日本戦のみならず、全64試合の放映権を獲得し、すべて無料生中継に。解説者に本田圭佑氏らを招くなどの話題性もあって、11月21〜27日の1週間で、ABEMA史上最高の週間視聴者数3000万人を突破した。12月2日の日本−スペイン戦も、早朝にもかかわらずアクセスが集中。ABEMA運営企業とCAの社長、藤田晋氏は「言葉もないですが、ABEMAはこんな時間にもかかわらず、また過去最高視聴を更新しました」と報告している。

「黒船」との協業に活路を見いだす陣営も。TBS HDの100%子会社THE SEVENは11月、Netflixと戦略的パートナーシップを締結。今後5年間、映像作品の共同開発を行うほか、THE SEVENのプロデューサーらによる独自企画など複数作をNetflixで全世界配信するという。THE SEVENは現在、神奈川県横浜市の「緑山スタジオ・シティ」に、配信コンテンツ向けの専用スタジオを建設中で、2023年より運用開始予定。東京・赤坂のVFXルームとあわせて、あらゆるタイプの作品制作を進める計画だ。

「動画→テキスト」「メタバース」などの取り組みも

他方で、動画コンテンツをテキストベースへ落とし込む施策も進んでいる。

TBSは4月、ニュースサイト「TBS NEWS DIG Powered by JNN」を開設した。JNN各局はTBSをはじめ、それまで各自ニュース配信を行っていたが、系列28局の総合ニュースサイトとして、各局の出資で立ち上げられた点が大きな変化だ。

次ページニュースサイトはすでに大きな脅威である訳
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事