企業がLINEで「友達追加」求めるナルホドな理由 顧客の負担なしでつながり続けるのがポイントだ

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たとえば、トヨタ自動車株式会社のホームページには、「踏み間違い加速抑制システム」の紹介があります。現在乗っている車に、追加で搭載することが可能で、踏み間違えても加速を抑制してくれる安全装置です。価格は税込みで5万6100円(2022年9月時点)。

1台に取り付けるごとに原価が発生しているので、顧客側にも負担が求められます。このように商品機能を高める部品や素材を追加すると、当然、限界費用(生産量を増加させたときに追加でかかる費用)がプラスされていくわけです。

「限界費用ゼロ」で顧客とつながり続けるには

このような従来のアナログ手法では、売った後の顧客とつながり続けるには、別途追加の費用をいただくことが前提となります。

そこで思い出してほしいのが、デジタル化の最大のメリットである「限界費用ゼロ」。デジタルを活用すれば、顧客から追加費用をいただくことも、企業側が限界費用を追加したり、手間を増やしたりすることもなく、つながり続けることが可能なのです。

繰り返し述べているように、DXの本質は、限界費用ゼロでビジネスを拡大させる武器を手に入れることにあります。デジタルの力を利用して、追加費用なしで、より一層強いつながりを顧客との間に構築していくことを、これからは考えるべきではないでしょうか。

たとえば、トヨタには「コネクティッドサービス」と呼ばれるシステムがあります。コネクティッドとは、つながっているという意味です。

トヨタの車を使用している顧客に継続してトヨタの車を利用してもらえるように、車や顧客の情報、交通情報や天気予報など、さまざまなデータをもとに快適・便利・安心なサービスを提供しています。

このサービスのいい点は、サービス機能が今後追加されたとしても、リアルの「もの」の追加と違って、限界費用が増えないということです。ITサービスはシステムを構築するまでは、もちろん費用はかかりますが、一度できあがってしまえば、限界費用ゼロです。ソフトウェアの追加で、顧客価値を上げ続けることができるのです。

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