産後1カ月の女性に訪れた予想外の「大ピンチ」 メンタルは強いと思っていたのに涙があふれた

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「自分はメンタルが強いから大丈夫」と思っていた筆者が経験したマタニティブルーとは(写真:hirost/PIXTA)
さまざまな不安を抱えながら出産した会社員兼ライターのしりひとみさんは、もともとメンタルの強さには自信があったといいますが、産後すぐに実家に帰省した際に、子どもの夜泣きが止まらないように。「ひょっとしてマタニティブルー? 産後うつ?」と追い詰められる中で、気がついたこととは。しりひとみさんの近著『ママヌマ~ママになったら沼でした』より紹介します。

母も感嘆した「いい子」

出産から約1カ月は「産褥期」といって、大きくなった子宮をもとの大きさに戻すために、体が全勢力を上げてメキメキと回復しようとする期間である。とにかくこの時期は、なるべく家事などもせず安静に過ごすべきとされている。また体だけでなく心にも変化があって、ホルモンバランスの関係で一過性の抑うつ状態、俗に言う「マタニティブルー」に陥りやすくもなるらしい。

これまで私は、どれだけ大きな仕事の失敗をしようとも、吐きそうなほどの失恋をしようとも、酒飲むか寝るかすれば翌日には全部大丈夫になっていた。その実績からメンタルつよつよ人間の自負があったので、まぁ自分にマタニティブルーは関係ないっしょ!と、ものすごく気楽に構えていた。

退院から10日間は夫が休みを取ってくれていたが、それ以降の身の回りのことは両親にお世話になるため、私は息子を連れて都内の実家に帰省した。

実家へ到着すると、リビングにはきれいに整えられたベビーベッドが用意されていた。息子は知らない場所に寝かされたにもかかわらず、「これが次の寝床ですか。悪くないですね……」といった表情で、声ひとつ上げず落ち着き払っている。その姿を見て、私の母が感嘆の声を上げた。「いい子だね〜。お姉ちゃんたちのときは絶対に1人でなんて寝かせられなかったよ」。

もしかして、私がポンコツすぎるあまり、神の采配によってイージーモードの赤ちゃんを割り当てられたのだろうか。お利口すぎる息子がさらに愛おしくなり、ただミルクを飲むだけでも「偉いね〜」、うんちをするだけでも「いい子だね〜」と、やたら褒めちぎるのが癖になった。

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