4人に3人は騙される「フェイクニュース」対策4つ 「自分は大丈夫と考える人ほど危険」調査結果も

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②情報はすべて偏っていることを知る

フィルターバブルやエコーチェンバーがあることで、自分が見ている情報はつねに偏りが生まれる。それだけでなく、ネット上には強い思いを持って情報発信をする人しか投稿しないため、中庸な意見の人は発信が少なく、極端な意見の人の発信が多いというバイアスがある。

そして、情報が偏っているのは何もネットだけではない。マスメディアも、それがどのようなメディアかによって情報に偏りがあるし、ときには誤報もある。

そのような情報の特性を知ったうえで、さまざまな情報に接するのが肝要だ。

③情報を拡散したくなったらほかの情報源を確認する

情報に接したら、ほかの情報源を確認するのも有効である。

検索サービスやソーシャルメディアでその内容について検索するだけで、それを否定するような発信が出てくることも少なくない。画像が引用されている場合には、その画像で画像検索するといった手段もある。

仮に否定するような発信がなくとも、マスメディアや大手ネットニュースによる続報がまったくなければ、その内容は相当に怪しい(裏取りができないということを暗示している)。ほかの情報源を確認するのに何も国会図書館に行く必要はなく、ネット上の調査だけでも、ほとんどの場合確認することが可能だ。

ただ、「情報に出会ったときにいちいちそんなことをしていられない」という意見もあるだろう。その場合は、最低限SNS上でシェアしたくなったり、直接の会話で誰かに伝えたくなったりしたときだけでも検証すべきだ。情報の拡散には責任が伴う。自分がフェイクニュースのスプレッダー(拡散者)にならないためにも、情報の検証の手間を惜しまないことが大切である。

④わからなかったら拡散しない

情報検証をしても、事実かどうかわからないことは少なくない。そういったときにわれわれにできる最良の手段は、情報を拡散しないことである。結局自分でとどめることが、最も効果的なフェイクニュース蔓延への対抗手段になる。

まさに各人がマスクをするなどでウイルスの拡散を防ごうとしているように、情報に対してもそのように気を付けることで、フェイクニュースというウイルスの拡散を抑え込むことができるというわけだ。

また、「~という情報を聞いたんだけどどう思う?」などのうわさ話としての拡散も要注意である。そのように話したつもりが、それが2人、3人と伝わるなかでだんだんと断定になるということはよくある話で、過去の事例でもそのような傾向が見えている。断定でない内容でも拡散しないことが重要である。

山口 真一 国際大学グローバル・コミュニケーション・センター准教授

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やまぐち しんいち / Shinichi Yamaguchi

1986年生まれ。博士(経済学・慶應義塾大学)。2020年より現職。専門は計量経済学、ネットメディア論、情報経済論等。NHKや日本経済新聞などのメディアにも多数出演・掲載。主な著作に『ソーシャルメディア解体全書』(勁草書房)、『正義を振りかざす「極端な人」の正体』(光文社)等がある。KDDI Foundation Award貢献賞等を受賞。他に、東京大学客員連携研究員、早稲田大学ビジネススクール兼任講師、シエンプレ株式会社顧問、株式会社エコノミクスデザインシニアエコノミスト、総務省・厚労省の有識者会議委員等を務める。

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