4人に3人は騙される「フェイクニュース」対策4つ 「自分は大丈夫と考える人ほど危険」調査結果も

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最近発表されたアメリカの研究では、非常に興味深い人間の特性が明らかになっている。まず、情報の真偽を判断する能力について調査したところ、約75%の人は、実際の自分の能力より高く自己評価していた。

さらに、そのように自身の判断能力を過大評価している人は、実際には時事問題に対する主張の真偽を見分ける能力が低かったのである。とくに政治的に自分とあった主義に対しては、フェイクコンテンツに「いいね」や「シェア」をしやすいということもわかった。

これらの結果は、フェイクニュースには誰でもだまされうるし、また、「自分もだまされるかもしれない」と自信がない人のほうが、むしろ気をつけてだまされないということを示唆している。

見ているのは切り取られた世界

ネットを見ていると、さまざまな意見が入ってくる。多くの人が何らかについて投稿しているため、ついそれが社会の意見のように思いがちだ。しかし、それはいつの間にか、自分の見たい情報ばかりになっており、まったく社会の意見分布とは乖離している可能性がある。

「選択的接触」という言葉がある。われわれはネット上でさまざまな人と交流できるが、人は自分と似た考え方・意見の人と交流しているほうが心地よいため、そのような人とつながる傾向にある。

その結果、広いネットの海でコミュニケーションしているはずが、実は閉じたコミュニティーの中で同意見ばかり飛び交う環境に身を置いている状況が生まれる。視野は狭くなり、意見は極端化しやすい。これを「エコーチェンバー現象」という。

これはいたるところで見られている現象で、自然な現象だ。例えば、ブラジルのヴィソーザ連邦大学准教授のシルビオ・C・フェレイラ氏らの研究では、ブラジルの元大統領弾劾について、ツイッター上では賛成派と反対派が完全に各々のコミュニティーを構築しており、反対意見の人同士でのやり取りはほとんど存在しなかったことが明らかになっている。

日本のさまざまな選挙やハッシュタグ運動などでも、このように同じ考えの人の中でリツイートやシェアが行われ、異なる考えの人とはほぼ交流がないことが示されている。

選択的接触は、人の手によるものだけではない。ネットサービスで使われている技術そのものが、われわれに選択的接触を勧めてくる。

皆さんは、Googleでの検索結果が1人ひとり異なることをご存じだろうか。あるいは、Facebookで流れてくるニュースや広告が、自分ならではのものとなっており、他人とまるで異なっていることをご存じだろうか。

このような現象は、多くのウェブサービスで見られる。サービス側はユーザの交流データやウェブサイト閲覧履歴データを収集しており、そのビッグデータを使って「ユーザの見たい情報」が優先的にユーザの目に留まるように配信している。

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