意図しない競合凍結で首位逆転
本書では、市場を成長市場、衰退市場、成熟市場に分けて、それぞれの環境下で起きた逆転劇計102ケースを分析している。
前回の記事では、成長市場で、「独創的な立地選択を果たして市場シェアを逆転した」10ケースを紹介した。
今回の記事では、「意図しない競合凍結」で首位逆転を果たした7ケースと、「狙い打ちの競合凍結」で首位逆転を果たした5ケースを紹介する。
意図しない競合凍結で首位逆転を果たした7ケースは下記のとおりとなる。
ポリカーボネート(三菱化学が帝人を逆転、1999年)
鼻炎薬(大正製薬がスミスクラインビーチャムを逆転、1995年)
大容量全自動洗濯機(日立製作所が松下電器産業を逆転、1994年)
液晶ポリマー(ダイセル化学工業が住友化学工業を逆転、1993年)
切符自動販売機(立石電機が神鋼電機を逆転、1984年)
フィルム粘着テープ類(日東電工が積水化学工業を逆転、1988年)
歯付ベルト(ニッタが三ツ星ベルトを逆転、1997年)
*年は、首位交代が起きた年を指す
「意図しない競合凍結」とは、新首位企業が事業環境の大きな変化を見据えて断行する構えの再編成が奏功し、それを旧首位企業が傍観することから成立する逆転劇のことである。
ポイントは、新首位企業が構えの再編に乗り出す時点で、必ずしも旧首位企業を意識していない点にある。それゆえ、競争戦略というよりは、事業戦略の色合いが濃い。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら