東芝の非公開化を巡り、優先交渉権を得た国内投資ファンドの日本産業パートナーズ(JIP)主導の企業連合に対する銀行の融資判断は12月中旬にずれ込む見通しだ。非上場化後の東芝の経営計画や借入金返済の見通しについて、慎重に見極める必要があるとしている。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。
複数の関係者によると、銀行団は三井住友銀行がリードアレンジャーとなって総額1兆2000億円のシンジケート・ローン(協調融資)の組成を検討している。JIPはオリックスやロームなど国内企業約20社から総額1兆円の出資の約束を得ていると銀行団に説明しており、買収総額は合わせて2兆2000億円規模を想定しているという。
同関係者らによると、JIPは銀行団に対し買収資金に加え、買収後の運転資金として2000億円のコミットメントライン(融資枠)の設定も求めている。
東芝はもともとJIPなどの提案者に対し、11月7日までに銀行からの融資証明(コミットメント・レター)付きの正式提案を提出するように求めていたが、JIPは融資証明がないままの提案を出していた。出資が不確実なことや買収後の東芝の経営計画などの詳細が不明だとして、銀行団が融資判断を見送ったためという。
銀行団は引き続き、JIPに非上場化後の東芝の経営計画や債務返済計画などの説明を求めているが、詳細な計画がまとまっていないとして慎重な姿勢を崩していない。融資が巨額になることから融資の可否を決めるにはなお時間が必要だとしている。
複数の関係者によると、JIPは来年3月までに東芝に対する株式公開買い付け(TOB)を完了させる計画だったが、銀行から融資証明を得るのが遅れていることから、このスケジュールを断念した。
JIPの広報担当はコメントを差し控えるとした。三井住友銀行の広報担当者は、個別の案件についてはコメントを控えるとした。
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著者:布施太郎
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