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日本代表「ドーハの歓喜」強固なメンタル術の深み ドイツ戦に歴史的勝利後のコメントを読み解く

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  • 木村 隆志 コラムニスト、人間関係コンサルタント、テレビ解説者
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一方、酒井選手は、「昨日、サウジアラビアがアルゼンチン相手にすごく勇敢な試合を見せてくれたので、やはり『1失点で収められれば何が起きるかわからない』というのはみんな思っていましたし、実際途中から入った選手たちも含めて、『みんなが戦えたことが今日の勝利につながったんじゃないかな』と思います」

日本代表はトップシーンで活躍する選手たちが多いからこそ、サウジアラビアの成功を自分に重ね合わせるイメージトレーニングが可能で、それを追い風にできるのでしょう。これは試合中も同様であり、「この展開になったらこう動こう」「この成功例に近づけるためにはこうしなければ」などと思考回路がフル回転している様子が酒井選手のコメントから伝わってきました。

サウジアラビアの前は同じアジア勢のカタール、イラン、オーストラリアが大敗を喫していただけに、それらは無視していいものだけ取り入れる、一流らしいメンタル術が見られたのです。

意識と評価基準が別次元の鎌田

さらに頼もしかったのは、優勝候補から歴史的な逆転勝利を収めても、まったく満足していない選手が目立ったこと。それが最も表れていたのが、鎌田大地選手でした。

「自分たちは本当に勝てると思っていましたし、『最低でも勝ち点1は取れる』って心の底から思っていたので、しっかり結果で証明できてよかった」「自分たちがしっかりやれば世界のトップとも渡り合えることを証明できたと思う」と自信を示す一方で、「前半は彼らをリスペクトしすぎて臆病に戦っていた」「僕個人的なプレーも今シーズンでいちばんよくなかった出来」「前半のまま後半も終わっていたら間違いなく一生後悔をするような内容」と不満をあらわにしていました。

鎌田選手の意識や評価基準は、勝敗とは別次元のところにもあるのでしょう。だから優勝候補のドイツに勝ったところでブレることはなく、自分に言い聞かせることで次戦のモチベーションにつなげている様子が伝わってきました。勝敗だけでなく、別の意識や評価基準を持っている人こそ常勝チームに欠かせない存在。「勝てばOK」という目先の出来事に集中してしまう人の集まりでは勝ち続けることは難しいのです。

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【誰よりもクールだった三苫薫】

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