平均利用時間96分!「TikTok」が広告王になる日 拡大する試聴時間シェア、「売れる広告」で独走

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それでも、ティックトックの広告は必ずしも「楽勝」とはいかない。ティックトック特有の表現を学ぶのに、つまずいているブランドもある。投稿した動画の趣味が悪ければ、容赦ないコメントが寄せられる。

5月にデンバー・ブロンコスのクォーターバック、ラッセル・ウィルソンがサブウェイとコラボして「デンジャーウィッチ」という名の特製サンドイッチを宣伝する動画を投稿すると、痛烈なコメントが付けられた。「ラッセル君よ、これは何だい?」と、ある人物は書いた。「夢に出てきそう」「ティックトックをこんなに気まずくできる人だなんて知らなかった」というコメントもあった。

サブウェイは声明で、ほかのメニューを出す「余地を作るため」8月にデンジャーウィッチを廃止したと発表していたが、11月になって「お客様からの要望」を理由にデンジャーウィッチを復活させた。ウィルソンのティックトックキャンペーンを再開する予定は今のところないとしている。

コンテンツ取り締まりには苦戦している

広告主の中には別の理由でティックトックへの広告出稿をためらうところもある。ティックトックは今も、トランプ政権とバイデン政権が投げかけたデータ流出の懸念を払拭できていない。両政権は中国企業が所有するティックトックを国家安全保障上の脅威と見なし、データが不当に抜き取られるおそれがあるという懸念を示してきた。

ティックトックがコンテンツモデレーション(問題のある投稿の監視や取り締まり)に苦戦していることも、広告主の懸念要素となっている。ティックトックでは、政治、健康、ウクライナの戦争などに関するデマが多言語で飛び交っている。

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