平均利用時間96分!「TikTok」が広告王になる日 拡大する試聴時間シェア、「売れる広告」で独走
さらにティックトックは広告主のブランドに対し、ティックトックのクリエーターと協力して広告を制作するよう促してもいる。広告をもっと自然なものにするためだ。「広告を作るのではなく、ティックトックの動画を作ってください」。ティックトックは広告主に、そう伝えているという。
ティックトックの広告で確かに売れた
ティックトックで流される広告は結果を出しているように見える。メンズファッション企業のスウェット・テーラーは昨年、ゆっくりと回転する男性に色違いの同じシャツを投げつけていく広告をティックトックに投稿した。この動画は5000回閲覧され、フォロワー数が300人に満たない同社が投稿したほかのどのティックトック動画よりも、はるかに多い閲覧数を獲得した。
スウェット・テーラーのこのシャツは、2週間で在庫の35%という、通常の5%を大幅に上回るペースで売れた。これに対しフェイスブックとインスタグラムの広告では売り上げに「ほとんど変化は出なかった」と、スウェット・テーラーのCEOアダム・ボールデンは言う。
スウェット・テーラーは現在、インフルエンサーとのパートナーシップを中心にティックトックにマーケティング予算の15%を振り向けているが、その比率を50%近くまで引き上げる考えだ。ティックトックの利用者には若い人が多く、閲覧者に商品を買わせる力も実証済みだからである。
「フェイスブックとインスタグラムが市場を牽引する力を失いつつあることは、はっきりしている。必須とまではいかないにしても、動画が極めて重要になってきていることを実感した」とボールデン。
ほかの企業でも同じような変化が起こっている。データ分析会社トリプル・ホエールのクライアント企業が今年に入ってからティックトックに費やした広告費は9989万ドルに上り、2021年の1839万ドルの5.4倍になったと、同社のブランド部門責任者アレクサ・キルロイは話す。