平均利用時間96分!「TikTok」が広告王になる日 拡大する試聴時間シェア、「売れる広告」で独走
宝飾品大手ティファニーは10月、ポップ界のスーパースター、ビヨンセが出演するおしゃれなモノクロ動画をインスタグラムで共有。この1分間のジュエリー広告は160万回の閲覧数を集めた。
その1週間後、ティファニーは別の動画を流行りの短編動画アプリ、TikTok(ティックトック)に投稿。その広告にはソーシャルメディア界の有名人、ケイト・バートレットが起用され、視聴回数はこれまでに520万回を超えている。
広告収入は前年比2倍の100億ドル超える公算
ティックトックといえばこれまでは、ダンス動画やポップソングの口パク動画だった。ところが、中国の字節跳動(バイトダンス)が所有するこのアプリは近年、デジタル広告の巨大メディアに成長。拡大し続ける利用者基盤へのアクセスを各ブランドに販売するほか、ティックトックに広告を出しやすくするサービスの開発も手掛けている。
調査会社インサイダー・インテリジェンスの推計によると、今年の広告収入は昨年の2倍を超える約100億ドルに達する勢いで、ティックトックは今年、広告収入でライバルのツイッターやスナップなどを上回る見込み。もっとも、グーグルや、フェイスブックとインスタグラムを所有するメタに比べれば、その事業規模はまだ小さい。
世界的な景気減速によってデジタル広告の勢いが失われているにもかかわらず、ティックトックは成長を続けている。景気後退はスナップ、グーグル、メタに打撃を与えた。ティックトックも影響がないわけではないが、他社からビジネスを奪うことで、ライバルたちをさらなる苦境に陥れているように見える。