「silent」役者たちが織りなす「空気感の共有」とは Snow Man目黒蓮、川口春奈の圧巻の演技力
SNSでこれほどの書き込みが多い作品も珍しい。吉田さんはその理由をこう分析する。
「現場にいるというか、会話をそばで聞いているような感覚があるんだと思うんです。想と青羽がいたカフェ、湊斗と青羽がいたファミレス、隣の席に座って聞いていて、思わずつぶやく、みたいな。その距離の近さがこの作品にはある。賞賛とか共感もあると思いますが、空気感の共有がSNSに向かわせるように感じます」
恋愛ストーリーの枠に収まらない
青葉紬をめぐる佐倉想、戸川湊斗の三角関係が物語の中心軸だが、恋愛ストーリーの枠に収まらないのは、視聴者が登場人物に感情移入して、自身の生き方を重ね合わせている部分もあるからだろう。
「このドラマにスーパーウーマン、天才、お金持ちは出てこない。特別な才能を持っている人もいないから身近に感じるのかもしれません。登場人物の共通点は全員優しくて、喜怒哀楽の怒がないこと。自分への怒りはあるけど、周りにその矛先を向けることがない。他人の気持ちに思いを巡らせることができるから、自分の生き方に悩んで葛藤する。最近の若者は恋愛、結婚しないというデータが出ていますが、恋愛に興味がないわけではないと思います。どの世代も人を好きになる気持ちは複雑です。LoveとLikeの2つで簡単に割り切れるものではない。
最近はYouTubeの倍速視聴や、違う作業をしながらテレビを見る『ながら視聴』が増えていることを意識した作品が増えているが、サイレントは登場人物たちが端的なやりとりでなく、ものすごく丁寧に自然な形で言葉を伝えている。時代に逆行しているかもしれませんが、このこだわりが視聴者の心をつかんでいるように感じます」。
登場人物全員が幸せになってほしいと願う視聴者は多いだろう。異色のドラマは今後どのようなストーリーが繰り広げられるか楽しみだ。
(筆者:梅宮昌宗)
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