「やる気がすぐしぼむ人」が知るべきただ1つのコツ 記憶のプロが教える、人生を変える「記憶法」

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それぞれの記憶は相互に作用し合って初めて真価を発揮します。ですから、記憶術を生かしてモチベーションを上げるためには、まずはこの「遅い記憶」と「速い記憶」の両方について理解しておかなくてはなりません。ここからは、それぞれの特徴と効果的な使い方について、簡単に解説していきましょう。

スタートダッシュに役立つ「速い記憶」

仕事や勉強を始める際の「なかなかやる気が起きない……」といった経験は多くの人にあるはずです。とくにリモートでの作業や資格試験のための独学では、「もう始めるべき時間だ」と理性的に判断できたとしても、現実にはすんなり行動に移せない人がいるのも事実です。

これは、自分を戒める力、言い換えれば「意思決定の能力」がうまく働いていない状態です。そしてこの「意思決定の能力」には、じつは「速い記憶」が大きく関わっています。

そもそも「意思決定」とは、そのときの状況や思考や目標などを総合し、さまざまな選択肢の中から行動を選ぶことです。例えば動画を見るか、少し休憩をとるのか、今すぐ勉強するべきかなど、さまざまな情報を一時的に脳のメモ帳に書き出し、総合的に判断することによって行動を制御することになります。

ここでうまく意思決定の能力を働かせるために必要なのは、速い記憶が「今すぐ始めるべきだ」という決定を下したときに、すかさずほかの誘惑をシャットアウトし、即座に仕事や勉強を始めるクセをつけることです。

物理学に「慣性の法則」というものがあります。これは、一度物体が動き始めたら、そのままずっと同じ動きを続けようとするものですが、この法則は人間の行動に置き換えても成り立ちます。何かに着手するまで抵抗やためらいがあったとしても、一度行動を始めてしまえば今度はそれに夢中になったり、継続するほうがラクになったりして逆にやめるのが難しくなる――この性質を利用すればいいのです。

(提供:KADOKAWA、図版:ヤギワタル・梔図案室)
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