航空関連器材の集中購買を手がける中国航空器材集団(CASC)は11月4日、ヨーロッパの航空機製造大手エアバスと航空機140機の大型購入契約を結んだと発表した。ドイツのオラフ・ショルツ首相の中国訪問期間に合わせた動きで、契約の内訳は短距離路線用の「A320シリーズ」が132機、長距離路線用の「A350」が8機。カタログ価格ベースの総額は約170億ドル(約2兆5148億円)に上る。
「中国の航空運輸市場の緩やかな回復とともに、今後は比較的速いペースの市場拡大が見込まれる。それに伴う航空会社の輸送力増強の需要に対応するため、エアバス機の大量導入を決めた」。今回の契約の背景について、CASCはそうコメントした。
同社は中国政府の国有資産監督管理委員会直属の国策企業で、中国国内の航空会社に代わって航空機の買い付け交渉にあたる。集中購買方式を通じて航空機メーカーから(各航空会社が個別に交渉するよりも)大きな優遇を引き出しており、航空業界関係者によれば、今回の商談でも実際の契約総額は170億ドルをはるかに下回るという。
ボーイングは大型受注5年なし
2020年に新型コロナウイルスの流行が始まって以降、中国企業がエアバス機を大量購入するのはこれが2回目だ。前回は2022年7月、国有航空大手の中国国際航空、中国東方航空、中国南方航空の3社がそれぞれエアバスと商談し、合計292機を契約。カタログ価格ベースの総額は約372億5700万ドル(約5兆5115億円)に上った。
一方、エアバスのライバル企業であるアメリカのボーイングは、中国との大型契約が途絶えて久しい。前回は5年前の2017年11月、当時のドナルド・トランプ大統領の中国訪問に合わせてCASCが300機を購入。カタログ価格ベースの総額は370億ドル(約5兆4734億円)を超えた。
だが、その後は米中両国政府の関係悪化が続いたうえ、ボーイングは主力機種「B737MAXシリーズ」の2度にわたる墜落事故の影響により航空機市場での評判を落としてしまった。中国では、航空安全当局によるB737MAXの運航再開許可が今も下りておらず、新規受注が得られない状況が続いている。
(財新記者:孫嫣然)
※原文の配信は11月4日
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