電車内で「理不尽な暴言」遭遇したらどうすれば? 謝っても怒鳴り続ける男、基本はSOSボタン

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一方で、ほぼ同時期に製造された東急5000系シリーズは1両に4カ所も押しやすい場所に設置されている。両社を比較するとJRは緊急事態への「想像力の欠如」が見られると言わざるを得ない。

これについて同社は、「2020年度から運行しているE235系横須賀・総武快速線やE131系などでは非常通話装置が1両4カ所設置されています。なお、車イススペース・フリースペースがある車両についてはその周辺、ない車両については連結面に設置しています」(混雑時に乗客が不意に押すことがない高さにしているという)とのことで、新型車両では増設を図っている。既存車両への増設も求めたい。

東急2020非常通報器
東急電鉄の車両に設置された非常通報器(撮影:大澤誠)

そしてもう1つ、筆者がこのトラブルの際に気になったのは、言いがかりをつけてきた男性が「なぜ組織的に狙われていると思ったのか」「なぜ謝っても駄々をこね続けるのか」、そういった行動の一方で「金品や土下座といったことは求めない」という行動や言動の不可解さだ。

こういった人物の行動の背景は聴取して情報共有はしていないのか。警察は「どういった背景でそのような迷惑行為を働くかという聴取や情報収集はしていない」という。ただ、今後も増える可能性があるこういった人物・行動への対策として、なぜそのような行動に出るのか知見を蓄積したり分析したりする必要性はあるのではないだろうか。

トラブル遭遇時のシミュレーションを

いかがだったであろうか。鉄道の利用シーンでの安全性に少し不安を覚えた方もいるのではないだろうか。日頃の備えとして非常通報装置の場所の確認や、通報装置近くへの乗車、トラブルに遭ったらどうするかといったシミュレーションは必要だろう。

そして鉄道各社には既存車両への非常通報装置の増設を求めたい。今までは平和な日本だったからこそ「緊急でないのに非常通報を押されたら困る」といった発想で設計していたのであろうが、今後は明確にSOSを求めやすいことを優先にするべきだ。

323系非常通報器
JR西日本大阪環状線323系の非常通報器(撮影:尾形文繁)

残念ながら、これから日本の治安が悪化していくことは必至といっても過言ではないだろう。貧困問題は深刻化しており、一方で政府は困窮している国民を助ける決断は遅く有効な対策は見いだせない。絶望から暴力に訴える方向へ追い込まれる層も増えかねない。相次いだ車内刺傷事件で車内防犯カメラへの注目が高まったが、非常用の通報装置もいざという時使いやすいよう、さらに充実を図ってほしい。

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北村 幸太郎 鉄道ジャーナリスト

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きたむら こうたろう / Koutaro Kitamura

1989年東京生まれ。2008年昭和鉄道高等学校運輸科卒業、2012年日本大学理工学部社会交通工学科マネジメントコース卒業。乗り鉄、ダイヤ鉄。学生時代は株式会社ライトレールにインターン生として同社の阿部等社長のもと、同社主催の「交通ビジネス塾」運営などに参加。

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