そうなった時に、何が動機づけのモデルになるかと言えば、ゲームなんですよね。ゲームというのは特に手を貸さなくても頑張って遊びます。誰かに頼まれなくてもゲームをやりたいという人はたくさんいます。もちろん、好き嫌いはあると思うのですが、ゲーム的なものは誰しも子どもの頃にやっていますよね。
ゲームには、いったん入り込めば夢中になる面白さがあります。しかも最近は、オンラインゲームやソーシャルゲームもあり、一人で楽しむだけではなく、他の人と協力しながら遊べるゲームが出て来ています。そういうものに夢中になる人たちがいて、しかもその中で人は多くのことを学んでいます。ゲームの複雑なルールだったり、歴史ゲームであれば歴史的知識だったり。
ゲームを教育に応用するということについては、少し前から多くの人が考えています。社会の様々な問題を解決することを目的としたシリアスゲームと呼ばれるもの、これは今では教育や訓練にも応用されていて、例えばフライトシュミレーターなどが該当します。他方で、ゲームの持つ特性を現実の世界で活用するゲーミフィケーションという考え方も出てきています。身近な例で言えば、お店のポイントカードがあります。カードをお店に持参すると何かもらえたり、何人かに一人は大幅な割引を受けられたりといったものがゲーム的です。
このようにゲームによって人を動機づけるということはもう既にあるので、もっと発展させたいと考えています。昔から学習ゲームは紙レベルでは存在するんですよね。ただ、そのレベルでこれからの教育をやれるかというとたぶんできない。そこで、ICTとゲームというものが関わってきます。
現在の学校はまだ、ICTを使ったゲームができる環境が整ってはいません。ただ、学習環境はどんどん変化します。世の中にこんなに急速にタブレットが普及したというのは、誰にとっても予想外だったように。歴史を見ると、学校というのは、世の中に何歩か遅れて情報化してきたんですね。そう考えると、今の大学生が将来、中堅の教師になる頃に彼らの教え子たちは当然のように沢山のテクノロジーが使える時代になっています。そんな環境で教育を行っていくことになる今の学生たちが最新のICTやITビジネスに触れていなくて良いのかという疑問があるんです。
グリーさんはIT産業の最先端でゲームを開発されています。そのような状況に身を置く社員の方たちと一緒になって作るゲームで、子どもたちにどのような反応が見られるかということにも触れ始める必要があると考えています。
今はテレビなどの映像の時代からスマートフォンなどのアプリの時代になり、単に映像が映るということには既に価値がなくなっていて、インタラクティブなアプリという形で表現することが普通になっています。つまり、そのアプリを使うということも学生たちは学んでおく必要があるんです。ただ、技術的に自分たちだけでアプリを作ることは難しいので、技術力のあるエンジニアの方に協力頂いています。
――教育学部の大学生にもプログラミングを学んでほしいとお考えですか。
これからは、教養として基礎的な知識は持っておいて欲しいと考えています。プログラムを専門的に作るというより、いろいろなプログラムを組み合わせてシステムを構築するという発想は、教育カリキュラムを作っていく上でも大切です。来年度以降の授業では、意欲のある学生については選択制で時間をかけてプログラミング体験をさせようと考えています。
(撮影:尾形文繁)
※この記事の後編は、3月21日(土)に公開します。
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