10日に発表された、アメリカの10月CPI(消費者物価指数)は、総合指数が前年同月比で7.7%上昇、前月比では0.4%上昇した。とくに重要視されるCPIコア(食品とエネルギーを除いて算出)は前月比+0.3%と、市場予想を大きく下回った。
CPIコアは市場予想よりも大きく数字が上振れた9月(+0.6%)から伸びが一気に半減するに至った。アメリカが直面してきた9月までの異例の高インフレが、景気減速を背景にようやく落ち着く兆候がでてきたということである。CPI発表をうけて、12月FOMC(連邦公開市場委員会)での利上げ幅縮小への期待が高まり、アメリカ株の主要な株価指標であるS&P500種指数は1日で5%を超える大幅な急騰となった。
利上げの到達点は以前より上がり、期間も長引く可能性
今回のCPIが、高インフレへの対処に苦しんできたFRB(連邦準備制度理事会)にとって、引き締めの効果が表れ始めたという意味で、やや安堵させる材料であることは事実である。
一方で、すでにジェローム・パウエル議長は11月初旬のFOMC後に、12月会合での利上げ幅縮小を否定せず、利上げペースそのものを重視していない考えを示している。つまり、今後はどこまで利上げを続けるのか、適切な金利水準に操作するために、「小刻みなペース」での政策金利の調整が必要な局面になっているということである。
そして、2023年にFOMCメンバーが想定する政策金利の到達点が、9月会合時点から上方修正されていることをパウエル議長は明言した。近々利上げ幅はペースダウンするが、2023年にかけて利上げの到達点が上がるとともに、より長引く可能性をにおわせることで、金融引き締め政策を強化するとの姿勢を伝えたことになる。
これをどう解釈するか、見方は分かれる。だが、パウエル議長の発言内容と発言時の姿勢を踏まえると、今後も金融引き締めを強化する意図を相応に抱いたうえで行われた可能性が高いように見える。
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