前回のコラム「アメリカ株の調整が思ったより長引きそうな理由」(9月16日配信)では、「今後アメリカ株の調整が長引く可能性が高くなった」との考えを述べた。
大幅下落したアメリカ株は底入れしたのか
このときは、8月25~27日に行われたジャクソンホール会合でのジェローム・パウエル議長の発言後に株価が大きく調整していた局面だった。FRB(連邦準備制度理事会)の引き締め政策への懸念がさらに強まり、長期金利の上昇が株価の重石になる可能性があると考えたことが大きな理由だった。
その後、9月21~22日のFOMC(連邦公開市場委員会)では事前予想通りに0.75%の利上げが行われた。だが、2023年にかけての政策金利の想定が4.5%を一気に超えた。
FRBの引き締め姿勢が強まったことで、アメリカの長期金利上昇が続いた。さらに英国の新政権の財政政策発動に伴う同国の長期金利急騰もあり、同月末には代表的な株価指標であるS&P500種指数が6月時点の年初来最安値を再び更新した。
10月に入ると、英国の政策転換に対する期待で、アメリカの株式市場は一時急反発した。だが、長期金利の上昇をうけて、同国の市場は再び年初来安値圏で推移している。
FRBのこれまでの利上げペースを改めて振り返ると、6月FOMCから「3倍速」での0.75%の利上げが3回連続で行われた。それでも、最近のFRB関係者の発言と高インフレの継続を踏まえると、3倍速の利上げが12月のFOMCまで続く可能性が否定できなくなってきた。最初の利上げがあった3月を基点にすると、1年程度で4%を超える急ピッチな金利上昇で、これはほぼ約40年ぶりの金利上昇ペースである。
もちろん、すでに金利上昇はアメリカ株にバリュエーション(企業価値評価)の調整をもたらした。その結果、アメリカ株価水準の割高感は解消されたようにもみえるが、楽観的になるのはまだ早いように思われる。
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