「首相はゴム人間」耳を疑う陰謀論に人が魅入る闇 現代人を蝕む「スマホ教」とはいったい何なのか
彼らを小馬鹿にしている方々も安心できません。カルト宗教の信者を論破しようと物見遊山のように出かけた結果、自分自身が染まってしまったという事例は珍しくないからです。
京都府立医科大学を卒業し医師となった、オウム真理教事件の中川智正元死刑囚もまた、オウム真理教の教祖、麻原彰晃による空中浮揚のインチキを暴いてやろうと出向き信者になってしまった一人でした。
あまりに魅力的な世界がそこに
それでは、なぜ普通の人々がそのような奇天烈な世界に魅入られてしまうのでしょうか。
その答えの1つを、ここで先取りしておきます。それは「現代人にとって、あまりにも魅力的だから」の一言に尽きます。異世界に染まり切った途端、人生は光り輝くとともに幸福感で満ち足りることでしょう。そう思えてしまうほど、その世界にのめり込んだ人々は充実し気力であふれているように見えます。
この異常な世界は、まるでヒーロー映画やロールプレイングゲームのようにできています。凶悪で手ごわい敵を倒すべく立ち上がった同志とともに幾多の苦難を乗り越え、日夜ネットの内外で活動をするのです。熱い使命感を胸に宿し、世界や日本のために仲間と突き進むわけです。
しかも、この世界には神様のように崇め奉られるリーダーやインフルエンサーがいます。皆とともに心から信じる神に祈り、神から発せられる言葉に胸を打たれ涙し、そして明日への活動の糧にするのです。
生きる意味・心地よい居場所・かけがえのない仲間・そして心酔できる神のような存在まで揃っていれば、異世界での生活は充実するに決まっています。
このようなスマホの普及とともに広がった脱世俗的な世界観のことを、ここでは「スマホ教」と呼ぶこととします。この宗教を信じることで、多くの人々は救われているのです。
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