「首相はゴム人間」耳を疑う陰謀論に人が魅入る闇 現代人を蝕む「スマホ教」とはいったい何なのか

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ツイッターで「ワクチン 人口削減」とか「ゴム人間 政治家」と検索してみれば、もはや病的としか言いようのない奇天烈なつぶやきをする人々が次から次へと見つかります。

そうかと思えば、「命をかけて新時代の地球のために戦いましょう!」「光の戦士たちとともに立ち上がろう!」といった、まるでドラゴンクエストに異世界転生したような人々もそこかしこで発見できます。私たち人類は、どうかしてしまったのでしょうか。ツイッターで色々と検索をすればするほど、なんだか不安になってきます。

そうは言っても、自分や身近な人がこんなトンデモを信じるようになるはずがない、と思う方が大半かもしれません。しかし、恐ろしいことに、この現象は決して他人事ではないのです。私たち一人ひとりの問題なのです。

例えば、ついついSNSにアクセスしてしまう占いに関心のある女性。占い好きでネットに頻繁にアクセスするならば、ネットに蔓延る特異なスピリチュアルに魅入られる可能性が高くなります。そしてそのスピリチュアルは、ネット上の偏狭な世界の入り口の1つになっているのです。

今日もまた誰かが異常な世界に引きずり込まれている

新型コロナ禍で相次いだ芸能人の自殺に違和感を覚え、その真相を探るべくスマホを手に取れば、たちまち奇矯な世界に足を踏み入れること請け合いです。きっと、奇々怪々な推理の数々を目の当たりにすることでしょう。

「〇〇 自殺 理由」といった不穏なワードで検索し、夢中でスマホをいじった経験がある方ならば、すでに異世界に触れていると考えてよいと思います。そこには、一般のメディアが報じていない「裏の事情」が山ほど書かれています。

不安やトラブルを抱えたり、自分や家族が難病を患ったりしたときにもまた、その入り口は近づいてきます。藁にもすがる思いの弱った人々に対し、既存のカルト宗教が忍び込んでくるのと同じ構図です。

スマホを使いだしてそれほど時間が経っていない方は特に危険です。ネットの恐ろしさを知らずスマホを利用するのは、丸腰でサバンナを散歩するようなものだからです。

ネット空間は、人の心を支配してしまう仕組みであふれており、今日もまたどこかで誰かが異常な世界に引きずり込まれているのです。ネットにアクセスする前に、護身術を身につけなくてはなりません。

次ページカルト信者を論破しようとして、自分自身が染まった例も
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