日本で「群集事故」が起きた場合"最悪シナリオ" クリスマス、年末年始、災害時に「危険度高い街」
真偽は不明ですが、今回の梨泰院で発生した群集事故でも「現場に有名なインフルエンサーが現れたと噂され、人々が集まった」(※1)という報道もあり、その報道が正しいとすれば今回の事故に似た事例と言えるかもしれません。
他方で後者の「群集雪崩」は、陥没型倒れ込み・内部崩壊型倒れ込みとも言われますが、10人/㎡以上の群集密度で発生することが多いとされています。
メカニズムとしては、過剰な群集密度のもとで群集内のもたれあいが崩れ、誰かが蹲(うずくま)るもしくは倒れることで、その隙間に人が四方八方に折り重なっていき、円形又は楕円状に転倒が広がるものです。
代表例は2001年に発生した「明石花火大会歩道橋事故」です。これは駅と花火大会会場を結ぶ歩道橋上で、帰宅する群集と会場に向かう群集が衝突し、押し合いとなった末に大規模な陥没型倒れこみが発生して、11名が亡くなったものです。梨泰院で発生した群集事故でも、映像を見る限り、かなりの密集状態になっていることから、この群集雪崩が発生した可能性も否定できません。
梨泰院の事故は、将棋倒しもしくは群集雪崩のどちらかが発生したものとみてよいでしょう。
なお、これ以外にも群集事故のタイプとしては、圧力で壁が壊れ群集が転落する「崩壊転落型」や「規制突破型」、スタジアムでフーリガンが暴動を起こすなどの「攻撃群集型」といった、さまざまなものがあります。
満員電車ではなぜ「群集事故」が起こらないのか
ところでこのような甚大な被害を伴う群集事故ですが、たとえ1㎡あたり5名程度の人が集まっても、実はそこまで頻繁に発生するものではありません。例えばエレベーター内の満員状態は4~4.5人/㎡程度、ラッシュアワーの駅の階段周辺は5.5~6人/㎡、ラッシュアワーの満員電車の状態は6~6.5人/㎡程度であることが知られています。
大都市のターミナル駅では、平日の通勤時間などでこの規模の群集密度になることも頻繁です。それではなぜ、群集事故が起きてしまうのでしょうか。
筆者は、群集事故はそれなりに群集密度の高い空間のもとで、「ハード」「ソフト」「心理」とも言うべきいずれかのトリガーが加わることにより発生する現象、と考えています。
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