「トイレをがまんする子」の見過ごせない健康問題 小学生の6人に1人が「便秘状態」という衝撃事実

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ところで、便秘とはどのような状態を指すのでしょうか。

『小児慢性機能性便秘症 診療ガイドライン』(以下、ガイドライン)によると、便秘は「便が滞った、または便が出にくい状態である」と述べています。

その解説として「『便が滞った状態』とは、なんらかの原因によって排便回数や便量が減少した状態であり、『便が出にくい状態』とは、排便するのに努力や苦痛を伴う状態、小児では排便時の肛門の痛みで泣いたり、いきんでも排便できない状態である」としています。

ポイントは、“回数だけで判断してはいけない”ということです。

たとえば、毎朝うんちが出ていても、長い時間いきまないと出ない、出るときに痛みがある、コロコロのうんちがちょっとしか出ない、といった場合は、便秘の可能性があります。一方で、2日に1回だったとしても、とてもスッキリと排便できているのであれば、便秘ではないと思います。

大切なのは、日頃から排便のことを話題にして、残便感がなくすっきり出ているかを把握することです。そのときにうんちがどのような形だったかを聞くことも必要です。 前述のうんちの形状でいうと、よいうんちはNo.3からNo.5が目安です。

子どもが便秘しやすい時期

便秘を発症しやすい時期があることを知っておくことも大切です。

ガイドラインでは、子どもが便秘を発症しやすい時期やきっかけとして、①乳児が母乳から人工乳へ移行したときや、離乳食を開始したとき、②トイレットトレーニングを行っているとき、③小学校への通学が始まったときや学校での排泄をがまんするようになったとき、の3つが知られているとしています。

いずれも大きな環境の変化がある時期です。母乳や人工乳から離乳食に移るということは、乳児にとってはかなりの変化です。今まで液体を口にしていたのに、ある日から液体以外のものを口に入れることになるわけですから、ビックリすると思いませんか。

トイレットトレーニングはおむつに排便することが当たり前だったのに、急におまるや便器で排便することを求められます。さらに小学校に通い始めるとなると、幼稚園や保育園とは異なり、社会への第一歩とも考えられますので、ドキドキするに違いありません。このような環境の変化は、緊張をもたらすので便秘を発症しやすくなります。

大人だって、試験や旅行、転職などで環境の変化があるときは、一時的に便秘になったりしませんか? 多くの場合はその環境に慣れたり、元の生活に戻ったりすることで便秘は解消します。それでも便秘が続く場合は、食生活や薬などで対応します。排便しなければならないことを大人はわかっているからです。

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