ソウル圧死事故「警察はいったい何をしていたのか」 専門家「警察法を知らないのか」と警察の対応を強く批判
2022年10月29日に発生し、155人の死者を出したソウル圧死事故について韓国の専門家らは、ハロウィーンイベント当時の警察の事前措置が足りなかったと指摘している。主催者がいてもいなくても、10万人を超える人が押し寄せるイベントであれば、関係機関の要請がなくても秩序維持権限を行使すべきだったという内容だ。
警察庁関係者は10月31日、「主催者がおらず、多くの人が集まるイベントに対するマニュアルはない。相当な人が押し寄せる行事であることは予見できたが、大規模な圧死事故が発生するとは予見できなかった」と述べたことに対する反論だ。
しかし、マニュアルがなくても「警察法」にしたがって国民の生命保護や公共の秩序維持のためであれば、自主的に判断して警察力を投入することは不可能ではなかったはずとの指摘が相次いでいる。
配置された警官の6割が交通担当ではなかった
現行の警察法第3条には、警察の義務として国民の生命・身体および財産の保護、公共の安寧に対する危険予防と対応のための情報収集・作成・配布、そのほかに公共の安寧と秩序維持といった8つの項目が羅列してある。事故現場を管轄とするソウル市・龍山(ヨンサン)警察署も10月27日に「ハロウィーン総合治安対策」を出しており、市民の安全と秩序維持により注力すべきだったと明らかにした。
ところが事故当日の10月29日に、警察は13万人が訪れる梨泰院地区一帯の道路を統制しなかった。配置された警官137人のうち、6割を超える85人が刑事捜査と外事関係者であり、麻薬などの取り締まりに焦点を合わせていたためだ。
コロナ禍対策が重要だった2020年と2021年、龍山区と龍山警察署はハロウィーンを前に合同対策会議などを行ったが、2022年には開かれなかった。梨泰院地区でのハロウィーンイベントは毎年恒例のものとなっており、内国人だけでなく多くの外国人も訪れるイベントだが、主催者がいないという理由で関連機関の間で有機的な対応がなされなかったということだ。