「もしかして老眼かも?」5つのチェックリスト 意外と知らない疑問点を眼科専門医に聞く
Q3.「若いころ、視力がいいと老眼になるのが早い」などということを聞きますが、事実そういった事象はあるのでしょうか。
「これは実際には老眼に早くなるわけではないんです。視力がいい=裸眼で遠くにピントが合っている人は、近眼の人よりも手元が見づらいことを自覚するのが早いということです。
ですので、老眼になりやすい人・なりにくい人という区別はなく、逆に“近視の人は老眼になりにくい”ともよくいわれますが、これも間違い。近視の人は、目の調節力の低下=老眼(近くの物が見辛い)に気づくのが遅いだけなんです」
Q4. 最近はスマホ老眼というワードもよく聞きますが、老眼の若年化が進んでいるということはありますか?
「スマホ老眼は、実際には老眼とは違います。若い人のピント調節障害をキャッチーな表現でこう呼んでいるだけで、医学的な表現ではありません。スマホ依存で近くばかりを見続けることで、緊張した毛様体がこわばり、遠くがぼやけるというのが“スマホ老眼”です。ただ、近くばかり見る時代になっているので、30代から40代前半で老眼症状を感じ始める人が増えている可能性はあります」
Q5. 老眼には治療法はあるのでしょうか。
・遠近両用(多焦点)メガネや、コンタクトレンズの使用
・手術による治療:老眼レーシック、角膜インレーなど
近視治療で話題のICLには老眼向けタイプも
「手術による治療には、モノビジョンといって、片方のピントを遠くに、もう片方を近くに合わせることで、脳の中で見え方を補正して近くも遠くも対応する方法もあります。しかしこれは人によっては目がまわり、施術できない場合も。コンタクトレンズ等でシミュレーションして耐えられる人が対象になります。
近視治療で話題になっているICL(眼内コンタクトレンズ)も、近年老眼向けの多焦点タイプが出始めています。これまで老眼世代の40代以上は不適合だったのが、治療範囲が広がっています。この先はまだまだ研究段階ですが、新たな眼内レンズも研究されているので、今後の楽しみではあります」