ディフェンシブ銘柄を保有しておくのも一つの方法です。
ディフェンシブ銘柄とは、食品、トイレタリー、医薬品、通信など、業績が景気に左右されにくい銘柄のことを言います。
具体的には、JT(食品)、花王(トイレタリー)、アステラス製薬(医薬品)、NTT(通信)などの銘柄があげられます。大抵の場合、株価が暴落するのは、景気後退等による企業業績の悪化が見込まれる状況下においてです。逆に言えば、どのようなマクロ経済環境でも、しっかりと利益を生み出している企業の株価は下げづらいということになります。
前回の記事で学んだ行動経済学では、損失と利益を比較した場合に、損失の方が利益よりも精神的な振れ幅が大きくなること。そして、その振れ幅については、損失は利益の2倍程度となることを学びました。
株価が下落した時の精神的ダメージの大きさを勘案すると、株価が下がりにくい銘柄を選択して投資していくことは、長く株式投資を続けていくための秘訣の一つと言えます。
保有するすべての銘柄をそのようにする必要はありませんが、自分が保有する銘柄群にこのようなディフェンシブ銘柄をいくつか入れておくと暴落時における緩衝材の役割を果たしてくれるでしょう。
景気敏感株は暴落時に買う
ディフェンシブ銘柄と対極にあるのが、鉄鋼、化学、機械など、景気によって業績が大きく変動する景気敏感株です。具体的には、日本製鉄(鉄鋼)、三菱ケミカルグループ(化学)、コマツ(機械)などの銘柄があげられます。
景気敏感株は景気拡大局面においては株価がテンポよく上昇し、大きなリターンも期待できます。他方、景気後退局面においては、下落スピードが速く、銘柄の特性を理解せずに投資していると不意をつかれることになりかねません。
その一方で、あらかじめ下落は大きくなることを想定していれば、大きなチャンスをつかみやすいとも言えます。下落率が大きくなればなるほどに、株価が回復する時の上昇も当然に大きくなります。つまり、暴落時に景気敏感株を買うことで大きなリターンが期待できます。
問題はどのような状況を暴落と見なすかですが、この点も皆さんは連載2回目の記事で既に学びました。VIX指数40以上、Fear & Greed Index 10以下、日経平均PBR1倍以下、マーケット全体がこのような状況にある時には暴落している状態にあると呼んで差し支えないでしょう。
更に、個別銘柄の底値を探る時にもPBRは有効です。
上記で紹介した個別の景気敏感株において、過去5年のPBRの推移を調べてみると、その下限値は日本製鉄が0.26倍、三菱ケミカルグループが0.6倍、コマツが0.79倍となっています。なかなか下限値まで下がることはないかもしれませんが、下限値に近づくにつれて底値は近づいてきているという判断材料の一つとなります。
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